根管治療に関する記事を中心に、専門的ながら大切なことを治療例をまじえて、一般の方にもわかりやすく解説しています。
ありきたりな内容ではなく、欧米の論文を精読した内容をベースに信頼性のある有用な情報を発信するよう努めています。疑問に思ったことは徹底的にリサーチします。学会参加報告記や、お知らせ、プライベートのくだらないお話もごくたまに、綴っております。

コアの治療とは?〜歯の余命にもかかわる重要な治療〜

2016.07.26 | 根管治療, コアの治療の重要性, 根管治療と歯のひび, 根管治療と歯の厚み |

こんにちは、李です。

前回に続き、根管治療と密接に関係しているコアの治療についてのお話しをしていきます。

前回もお話しましたが、コアの治療は慎重におこなわないと歯の余命にもかかわる非常に重要な治療なのです

なぜ、歯の余命にかかわるのか?

今日はそのことに焦点を当ててお話していきます。

 

コアの治療では、ポストを併用する場合もありますし、コアとポストが一体型になったものもあります。

ポストとは、コアが外れにくいように、根管の中に差し込む形で維持をもとめる部分です。

 

下の写真左はコアだけが入っている根管治療歯です。写真右はコアとポストのタイプです。

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下の写真では、根管治療を行った場合にコアに置き換わる部分が青い点線部で、点線部はすでにコア&ポストが入っている状態です。

どちらが歯がたくさん削られて、少なくなっているか一目瞭然だと思います。

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下の写真は前歯用のメタルコア&ポストです、だいぶ太い部類のものです。青い矢印の部分がポストで根管に差し込みます。

**リーズデンタルクリニックではメタルコア&ポストの治療はおこないません。その理由は前回のブログをお読みください。

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ポストは、太すぎる場合、多くの歯で歯根破折(根のひび割れの大きな原因になることが多いです)のリスクを高めます。

なぜなら、太いポストを根管に差し込むためには、根管の歯の部分を削る必要があるからです。

必要最小限であれば良いのですが、不必要に太く長いポストも多くみかけます。当然その分歯が削られ薄くなります。

 

太いポストの例

下の写真は右側は太いポストが入っているため、左側の歯に比べて、歯が薄くなってしまっています(→部分で比較すると半分以下の薄さです)

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ものすごく長く太いメタルポストが入ってしまっている歯。

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ポストはなんのためにいれるのでしょうか?

歯の上部がない場合、ポスト(下の写真の青→部)を根管に差し込まないとコアの部分(下の写真の赤→部)を維持できません。

コアの上からクラウンを被せるのですが、ポストで歯の内部に支えがないとクラウンもコアもすぐ外れてしまいます。

 

SHOFU DENTAL DIGITAL CAMERA

 

なので、ポストが確実に必要な症例とは歯の上部がない歯です。

たとえば、こういう状態の歯です

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では、下の二本の前歯はどうでしょう。両方ともこれから根管治療をおこなう歯です。

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は歯の上部がなく、支えが必要なためにポストが必要です。

は歯の上部がたっぷりありますのでポストの支えは必要ありません。

もしもの歯にポストを入れようとしたら、無意味に余分に歯を削り、歯の強度弱めることになるのです。

 

患者様の中にはファイバーポストを入れたほうが歯が強くなると思っている方がたまにいらっしゃいます。

もちろん、の歯のように必要な歯にはファイバーポストをいれたほうが良いです。

けれどものようにそもそもポスト自体が必要ないような歯に、歯を削ってまでファイバーポストを入れるメリットはありません

必要以上に歯を削るというデメリットがあるだけです

 

同じ前歯の根管治療歯でも歯の状況によってこれほどの違いがあります。

日々治療を行う中で、歯が薄すぎるためにひび割れになり助けることができない歯に多く遭遇します。

健康な歯の質の部分をいかに失わないようにするかは、歯の余命にとってとても大切なことです。

コアの治療をおこなう歯科医はこういったことを考えながら治療をしないといけないと思います。

根管治療の専門医は歯の保存という観点から、歯を削り過ぎないようにとても配慮をした治療をおこないます。

それはコアの治療だけでなく、最初の根管治療の時にもいかに歯を余分に削らずにおこなうか、コアを外す際にも、ちょっとでも健康な歯を削らないように細心の注意を払って治療をしているのです。

 

繰り返しますが、コアの治療は歯の余命にかかわる本当に重要な治療なのです

 

 

根管治療で歯が薄くなる?〜予防するには?〜

2016.01.18 | 根管治療, 根管治療と歯の厚み |

こんにちは。李です。

さて、去年に続いて『根管治療で歯が薄くなる?』シリーズのパート3です。

今日は根管治療で歯が薄くならないためにはどうすればいいのか?についてお話ししていきます。

根管治療をおこなうときには、歯が薄くならにように極力注意しないといけないことは、もちろんのことですが、

前回のブログでもご説明したように、感染してしまっている歯の根管治療では、感染している部分は取り除かないといけませんので、その分歯は薄くなってしまいます。取り除かないと根っこの病気を治すことができないので、これは避けることができません。では、どうすればいいのか?

最初の治療が失敗しないようにする ことです。

パート1、パート2でご説明したような感染根管治療(多くはやり直しの治療)では、過去の治療で歯が薄くなっている上に、さらに感染している部分を徹底的にとなければいけません、歯が薄くなる大きな原因として、何度も治療を繰り返すことがあげられます。

これは、根管治療で悩んでリーズデンタルクリニックにいらっしゃる患者様の多くにあてはまっているのですが、

以下のような再治療の悪循環にはまってしまっていらっしゃいます。

 

根管治療をくりかえす典型的な悪循環

①虫歯から神経に炎症がおこり、神経を取る処置をおこなう(一回目の根管治療

②1回目の根管治療が失敗して細菌感染がおこり、数年後に痛みや腫れなどから再治療が必要になる(2回目:再根管治療

なぜ失敗するかは過去のブログ記事へ→(はじめての根管治療で失敗する5つの原因①〜ラバーダム防湿と無菌的治療〜)

③数年後に症状が再発して、再度、根管治療を受ける(3回目:再根管治療

治療のたびに感染した部分を取り除くため、歯がどんどん薄くなる

リーズデンタルクリニックに辿り着く頃には歯が薄くなりすぎて治療ができない状態にまでなっていることもあります

 

下の写真は再治療を繰り返し、歯が薄くなりすぎている状態です

 

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下の写真はいずれも1回目の根管治療です。上の写真と比較すると、歯の量と厚みが多いのがわかります。

DSC01263-e1416278515619 根管治療マイクロスコープ画像 

 

一回目の治療が成功し、その後問題なく歯が維持できれば、それ以上歯が薄くなることはありません。

 

根管治療専門医が無菌的な治療環境で抜髄治療(一回目の治療)を行った場合の成功率は90%以上です。

再治療の悪循環にはまらないためには、1回目の治療の成功がその後の歯の運命(寿命といってもいいでしょう)を決定するとても大切な治療となります。

ですので、私たち根管治療専門医は細心の配慮で、根の中が感染しないよう、歯を削り過ぎないように治療をおこないます。

 

はじめての根管治療が行われる時に、その歯の扱い方、削られ方で歯の予後が決まってしまうといっても過言ではないくらい初回の根管治療はその歯のその後の長持ちや、病気の再発などに大きく関わってくる大切な(歯科医にとっては責任重大な)ことなのです

 

但し治療は成功しても、その後虫歯になってしまうと、虫歯から根の中に細菌が入りますので感染がおこり、結局は再治療が必要になるので治療後の

メンテナンス、経過観察も非常に大切なことなのです。

 

根管治療で歯が薄くなる?〜肉眼での見分け方〜

2015.12.29 | 根管治療, 根管治療と歯の厚み |

前回に続き、『根管治療で歯が薄くなる』という問題にお話ししていきます。

『根管治療をすると歯が薄くなるから、不安です』『根管治療ですでに歯が薄くなっていてると言われた』などとかかりつけの歯科医院で言われて不安になられている患者様が多いです。

また、『いったい私の歯はどれほど薄くなっているのか?』とご不安になられている患者様には、実際にご自分の歯がどれほど薄い状態なのか、実際にお写真をお見せしさらに根管治療をすることで、さらにどれくらい薄くなるのか、イメージがつかみやすく安心される患者様が多いようです。

 

今日は視診(見た目)で歯が薄くなっていることを見るポイントをご説明していきます。

見た目で、といってもほとんどの歯はクラウンやインレーなどが入っているので、まずははずさないとわかりません。

 

下の写真は治療前のクラウンの状態です

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クラウンとコアをはずしたところ、この段階で歯が薄くなっている部分をチェックします。この段階でヒビの染め出しもおこないます。(→)はひびが染まっているところ。

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この歯はレントゲンではそれほど薄くなっているとは判断していませんでした。けれども外すとこのように、薄くなっている部分がありました。レントゲンだけで歯の薄さを100%判断できない理由は、レントゲン写真は立体のものが平面で写りますので、周りに歯が分厚い部分があると、薄くなっている部分と重なり隠れてしまうからです。

その他の症例を見ていきましょう。

 

こちらの歯は一部を除いて歯がたっぷりあります。

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一番理想的な状態は歯の全周が分厚く、丈もある状態ですが、根管治療がされている歯はもともと大きな虫歯があることがほとんどですから、全周しっかり歯があることは多くありません。

 

上の歯の虫歯の部分をとったところ。

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4壁あるうちの1壁は丈も厚みもなくなっていることがわかります。

ここが歯が薄くなっている部分です。こういうところは、なるべく余計に削らないように注意が必要です。

けれども、虫歯がある場合は削らないといけません

根の中が感染している根管治療や再根管治療を行う場合には、根の中の細菌や細菌感染している部分(つまり虫歯になっているところ)はしっかり取り除く必要があります。そうでないと、根っこの病気を治すことができない、または再発につながります。

 

最後にもうひとつ症例です。

虫歯になり、歯肉がかぶっているのでその下の歯の状態がわかりません。

これではどれくらい歯が薄くなっているのかわかりません。

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まずは麻酔をして歯肉を切除します。

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その後、虫歯を取ったところ。4壁のうち、2壁は薄く、歯の丈も全然ありません。

 

 

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この状態になってはじめて歯の薄さを評価できます。4壁のうち、全周分厚く丈がある状態が理想的で、これが3壁、2壁と減るにつれ歯が薄く弱いと言えます。

下の写真のように、全周歯がない場合は長く安定して歯が機能することが難しいことが予想されますので、患者様に写真をお見せしながらご説明いたします。

 

歯が全周なく、非常に薄い状態

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せっかく治療をしても、長く持たないと費用対効果が悪くなります。

このことはとても重要なことです。

実際に目で見て歯の薄さを確認するには、外す処置が必要です。外して目で見て、はじめて納得されて抜歯に踏み切る気持ちが固まる患者様も少なくありません。

もちろん、ひびがない限りは治療はできますので、それでも少しでも長くご自分の歯を使いたい、抜きたくない場合は治療することを選択される方もいらっしゃいます。

一番大切なのは、納得した上で治療の選択ができることです

そのためにお手伝いとして、リーズデンタルクリニックでは写真を撮りかならず歯の薄さをご説明をしております。

 

 

根管治療で歯が薄くなる?〜レントゲンでの見分け方〜

2015.12.23 | 根管治療, 根管治療と歯の厚み |

今日は、根管治療の初診でいらっしゃる患者様がよく心配されている『根管治療で歯が薄くなる』という問題について、記事を書きたいと思います。

『根管治療をすると歯が薄くなるから、不安です』『根管治療ですでに歯が薄くなっていてると言われた』などとかかりつけの歯科医院で言われて不安になられている患者様が多い様です。

『いったい私の歯はどれほど薄くなっているのか?不安です』ということを訴える方が多いです。

今日はまずご自身の歯が薄くなっているかどうかを、どうやって判断していくかをお話ししていこうと思います。

方法は二つ、レントゲン検査と直接目で見る。です。

レントゲン検査ではどういうところで歯の厚みを見ていくのでしょうか?

以下に、根管治療した2本の前歯を比較してみましょう。

下のレントゲン写真で矢印の部分が歯の厚みです。(青→)と(赤→)を比較すると、(赤→)の方が歯が薄くなっているのがわかります。

根管治療 歯が薄くなる1根管治療 歯が薄くなる

 

このように、レントゲン写真から事前に歯の厚みを予測することができます。

根の中が感染している根管治療や再根管治療を行う場合には、根の中の細菌や細菌感染している部分(つまり虫歯になっているところ)はしっかり取り除く必要があります。そうでないと、根っこの病気を治すことができない、または再発につながります。

ですので、根管治療をすると歯が薄くなる、というのは感染してしまっている歯では起こり得ることです。病気が再発するたびに治療を何度も繰り返すと、治療の度に歯が削られて薄くなることもまた事実です。

リーズデンタルクリニックでは、根管治療の初診でお越しの患者様には、かならず現在の歯の薄さ、歯の厚みをご説明しております。現段階ですでに歯が薄い場合は、根管治療をおこなうことでさらに歯が薄くなる可能性と、また歯が薄くなることによって起こるリスクをご説明しています。

 

次回は視診(見た目)で歯が薄くなっていることを見るポイントをご説明してきます

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