根管治療に関する記事を中心に、専門的ながら大切なことを治療例をまじえて、一般の方にもわかりやすく解説しています。ありきたりな内容ではなく、欧米の論文を精読した内容をベースに信頼性のある有用な情報を発信するよう努めています。(*記事の元になっている引用文献を記載しています)

追記:多くのブログ記事の執筆当時からだいぶ時間が経過しております。最新の研究をもとにした現在の見解や治療のトレンドなどをアップデートできておりませんので、記事によっては当時の見解から変化している場合もあります。(2022.12.28)

ポスト、フェルル、根管治療歯の長持ちにはどちらが重要?

こんにちは。李です。

日本橋桜通りの桜は満開です

八重洲から八丁堀まで続くさくら通りの桜。ずっと奥まで続きます。特に昭和通りを超えてからは桜が密集していてまさに桜の天井です、ぜひクリックしてみてください

毎年楽しみなこの季節ですが、今年ははじめて花粉症の症状が出てしまいました

さて、前回、前々回と根管治療を行う時に精査するべき残存歯質の量、特にフェルルについてブログ記事を書いています。

フェルルとは?前回のブログお読みください

根管治療しても長持ちしない歯の見分け方②〜フェルルの有無〜

 

今日もその続きとして、最近出版された興味深い論文を引用し、解説します。

Naumann M et al.“Ferrule Comes First. Post Is Second!” Fake News and Alternative Facts? A Systematic Review.J Endod. 2018 Feb;44(2):212-219

 

フェルルの有無、ポストの有無が根管治療した歯のサバイバル、修復物のサバイバルにどう影響するかを調べたものです。

術後5年以上のデータのある8つの論文のシステマチックレビューで検証していますので、エビデンスレベルの高い研究と言えます。

簡単に結果をまとめますと、8本中7本の研究で歯にフェルルがある場合はポストにプラスの効果がないという結果が出ています。

この中でフェルルの効果を比較検証した研究は3本ですが、2/3本でフェルルの存在が歯のサバイバルに好ましい効果があるとの結果となっています。

歯にフェルルがあればポストを入れても入れなくても変わらないということで、つまりそれは歯のサバイバルにはポストよりもフェルルの有無の方が、重要であるという結果と言えます。

歯がたっぷり残っていて、フェルルがあることが根管治療歯の長持ちにとても大切なことです

残存歯質、フェルルがあるかどうかを正確に把握するにはクラウンやコア、ポストを外し、虫歯があれば虫歯を取り除いた状態で評価が必要です。

根管治療を受ける際には、根の病気の診査ももちろんですが、フェルルも含めた残存歯質をしっかり把握することが大切です。しかしながら、フェルルがあるから絶対に長持ちするとは言えません。残存歯質の量は歯の余命の予測のための1つの目安となりますが、それ以外の要素もたくさんあること、お口の状況は個人差があることなどから、いろいろな要素を考慮して主治医とよく相談の上、治療を進める必要があります。

例えば、フェルルがしっかりあっても、太いポストのせいで根が薄くなっていたり、そもそも全くの健全歯でも、過度の歯ぎしり食いしばりなどでパックり割れてしまうこともあるのです。

以下、フェルルや歯冠の歯質ががあっても割れていたケースです。

フェルルがあっても、太いポストが入っていて破折をしていた歯

歯ぐきが腫れている、という根管が太く削られている左上5

フェルルはありますが、根が薄く、外すと根が破折していました

抜歯インプラント治療となりました

インプラント上部構造セット後

 

根管治療をしていない、無傷の歯が割れていたケース

根管治療もしていない、インレーすら入っていない健全な歯がたっぷり残った左下6 の歯冠が破折しています。(茶色いところは虫歯ではありません)

破折がどこまでいっているか確認するために削り取っていくと歯根まで真っ二つに割れています。

 

 

この記事が役に立ったら、SNSでシェアしてください!

初診予約はこちら

診療時間: 平日10:00~17:00
土曜10:00~17:00

※休診日はカレンダーをご確認ください。

歯内療法専門歯科医院
リーズデンタルクリニック

東京都中央区日本橋3-8-10 島崎ビル2階
call 03-6262-1045
治療中は折り返しになる可能性がございますがご了承ください

expand_less トップ