根管治療に関する記事を中心に、専門的ながら大切なことを治療例をまじえて、一般の方にもわかりやすく解説しています。ありきたりな内容ではなく、欧米の論文を精読した内容をベースに信頼性のある有用な情報を発信するよう努めています。(*記事の元になっている引用文献を記載しています)

追記:多くのブログ記事の執筆当時からだいぶ時間が経過しております。最新の研究をもとにした現在の見解や治療のトレンドなどをアップデートできておりませんので、記事によっては当時の見解から変化している場合もあります。(2022.12.28)

根管治療が成功すれば、歯は長持ちするのか?

こんにちは。李です。
すっかり涼しくなりましたね。やっと秋らしくなってきました。
昨日久しぶりに外をジョギングしました(夏は暑くてジムで走っていたので
この時期の外のジョギングは本当に気持ち良いですね。

さて、今日は嬉しいニュースから。
8月いっぱいで退職した衛生士の後藤が、新たなステップとしてを踏み出しめだくも目標を達成しましたので発表します
彼女の次の目標は衛生士の学校の先生になるということだったのです
おめでとうそして良い衛生士さんを育てる側の教育者側になり、良い人材を育成してくださいね。
近々お祝い会やります

さて、今日の本題に入ります。
私がよく患者様に初回のカウンセリングでお話する内容について今日はお話していきますね。
根管治療の成功(根の病気が治る事)と、歯が長持ちすること、はまた別の問題として考えないといけません。

根管治療とは根尖性歯周炎(根の病気)の予防と治療をおこなう治療です。
根尖性歯周炎の原因は細菌です。ですので根管治療とは、根の中の汚染を取り除き、消毒殺菌で、細菌を極力減らす(完全にゼロにはなりませんが)こと、そしてあらたに細菌が入り込む通り道をシャットアウトすることです。
抜髄治療では、再治療よりも細菌が圧倒的に少ないと思われます。なので、いかに治療中に細菌を根管内にいれないか、というのが治療の成功のキーポイントになります。

では、歯が長持ちすること、とは?

それは健康な歯の量、厚みによるところが非常に多きいのです。

根管治療の初診でいらした患者様にカウンセリングでよくきかれる質問があります。

患者様:『先生、この歯は治りますか?抜歯しか方法はないのでしょうか?』

私:『根管治療で細菌を減らす事は確実にできます。100%の成功率ではないですが、
細菌を減らすことで、細菌が原因の根の病気が治る確率は、専門医が治療を行った場合、文献のデータから70~80%です。治らなかった場合には次のステップとして外科治療という方法があります。』

そしてさらに

『現時点で治療ができない、抜歯しかないというのは致命的な歯のひび、割れがある場合のみです。そうでなければ、なんとかして治療することは可能ですが、根の病気が治っても歯が長生きするかどうかは別の問題です

ここで、歯のレントゲンや歯の写真(クラウンやポストをはずして、歯だけの状態になった写真)をお見せして、このことに対しての説明をおこなっていきます。

細菌が減れば病気はなおることが多いです。でも、歯が薄いと、咬む力で、のちのち歯が割れるリスクが高いのです。これは私にはどうすることもできないし、いつ起こるかも予測ができません。根の病気が治っても、クラウンをかぶせて1ヶ月後に割れるかもしれない、半年後かもしれない、または3年、5年ともつかもしれません。
ただ、それは誰にもわかりません。今私に言える事は、根の治療はできるけど、歯が薄いということだけです。抜歯をしてインプラントをする方が長持ちすることも良くあるのです。長い目で見た時にどちらが良いかと費用をお考えになって、治療をご希望されるかどうか、お考えください』

ここで、どちらが良いかは、は患者様の歯に対する価値観が多いにかかわってきます。
たとえ短い期間でもいいから自分の歯をのこし、インプラントを先延ばししたいという場合、根管治療を選択されます。これは歯の延命治療のようなイメージです。

また、弱い歯にそれだけの費用をかけるのは、みあっていないな、と考える場合は抜歯インプラントまたは治療しないという選択肢です。
これもまちがった選択ではありません。

患者様のカウンセリングでは誘導にならないように気をつけています。
診査の結果を客観的に伝え、成功率、歯の厚み、などなどから考えられうる将来的なリスク、治療のメリット、デメリットをお伝えして、治療の選択肢をお話しします。根管治療を専門としているからといって、何がなんでも根管治療をすすめるわけではないです。
何が一番重要かはひとそれぞれですので、必要な情報をお話し、
患者様それぞれにとって最善の選択をできるような情報と解決方法提供をこころがけております。

初診の検査ではレントゲン、視診、触診、打診、歯髄診、歯周ポケット測定をおこないます。それだけでだいたいの状態はわかりますが、さらに残った健康な歯の部分がどれくらいあるか、はクラウンやポストがはいった状態ではわかりません。

例を見てみましょう。
クラウンをはずしたところですが、まだメタルコアが入ってて歯の全体像

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