根管治療に関する記事を中心に、専門的ながら大切なことを治療例をまじえて、一般の方にもわかりやすく解説しています。ありきたりな内容ではなく、欧米の論文を精読した内容をベースに信頼性のある有用な情報を発信するよう努めています。(*記事の元になっている引用文献を記載しています)

追記:多くのブログ記事の執筆当時からだいぶ時間が経過しております。最新の研究をもとにした現在の見解や治療のトレンドなどをアップデートできておりませんので、記事によっては当時の見解から変化している場合もあります。(2022.12.28)

根管治療、ラバーダム装着はどうして必須なのでしょうか?PART1

皆様こんにちは!
今日は久しぶりにすっきり快晴、さわやかで気持ちのよい土曜日ですね
夏からずっと朝型生活にしていますが、この時期の朝の空気は最高ですので少し早起きをしてウォーキングなんか、おススメですよほんっとーに気持ちいいです

さて、今日は根管治療で欠かせない基本中の基本の処置であるラバーダム装着について、お話していこうと思います。
振り返ってみると、ラバーダムについてちゃんとブログで紹介したことはなかったな〜と思います。
これを機会に皆様にラバーダム装着の意義を知っていただきたいです。

このブログで何度も何度も書いていますが、根管治療の目的は細菌の除去です。
感染根管では細菌をできるかぎり除去すること、抜髄では、根管内に細菌が入らないようにすることです。
なぜなら、根尖性歯周炎(皆様がお悩みの根っこの病気)の原因が細菌だからです。つまり、細菌さえいなければ根尖性歯周炎は起こらないのです。
この、根尖性歯周炎の原因が細菌であることを実験して証明したとても重要な論文があります。
Kakehashi S (1965)『The effects of surgical exposures of dental pulps ingerm-free and conventional laboratory rats.』

この論文では、無菌のマウスと、普通のマウスの歯を削り、露髄させて(神経に穴をあける)その後の経過を42日まで観察しています。
そして42日後、普通のマウス群は全ての歯の神経が死んでしまい根尖性歯周炎がみられたのに対し無菌のマウス群は神経の治癒がみられ、健康な状態のままだったいう結果です。
このことから、細菌がいなければ根尖性歯周炎が起こらないということが証明されました。

イラストがあった方がわかりやすいかな?と思い自分で作ったスライドがこちらです。
kakehashi_convert_20121020112045.jpg

1965年の時点でこのような論文が世にでているのに、日本でラバーダムが普及していないのが不思議でなりません。

さて、このように根管治療は細菌との戦いです。
しかしながら口腔内は細菌がたくさんいます。
唾液の中にも細菌はたくさん存在します。
そんなお口の中で、細菌と戦う根管治療をおこなうためにラバーダムが活躍しますが、
歯科医でもよく勘違いしている方がいらっしゃるのですがラバーダム装着は、唾液を入らないようにするためだ、と思っている方がいるようです。
そんな方は、『唾液さえ入らないように工夫すれば、ラバーダムはしなくていい』とおっしゃいます。
もちろん、唾液には細菌がたくさん存在するのでこれは間違っていないのですが、ラバーダム装着の効能は唾液の排除だけではありません。

ではそれ以外のラバーダム装着の意義は何でしょうか?PART2に続きま〜す

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