根管治療に関する記事を中心に、専門的ながら大切なことを治療例をまじえて、一般の方にもわかりやすく解説しています。ありきたりな内容ではなく、欧米の論文を精読した内容をベースに信頼性のある有用な情報を発信するよう努めています。(*記事の元になっている引用文献を記載しています)

追記:多くのブログ記事の執筆当時からだいぶ時間が経過しております。最新の研究をもとにした現在の見解や治療のトレンドなどをアップデートできておりませんので、記事によっては当時の見解から変化している場合もあります。(2022.12.28)

根管治療と抗生物質update(2022最新と過去記事のまとめ)

みなさまこんにちは、2014年に公開したブログ記事『根管治療と抗生物質』の4シリーズですが、2022年現在も多く検索されて読まれているようで、嬉しい限りです。現在、記事執筆当時から8年が経過しており、米国歯内療法学会や米国歯科医師会の学術誌(The Journal of the American Dental Association)からは2019年に抗生物質の使用についてアップデートされたガイドラインが出ています。今回のブログ記事でもその情報をベースに根管治療と抗生物質について内容をアップデートしたいと思います。

根管治療と抗生物質update(2022最新と過去記事のまとめ)

①根尖性歯周炎(根の周りの炎症の病気)は抗生物質の服用のみでは治らない

●根尖性歯周炎は根管の細菌感染が原因で起こる病気である→根管内の細菌がいなくなれば病気が治る

●抗生物質で細菌を除去できないの?→ 取り除くことはできません。

理由1:歯髄(歯の内部の神経と呼ばれるところ)には血管は張り巡らされていますが、感染した根管の歯髄は死んでしまっている、もしくは過去の治療で取り除かれているため)血流にのってデリバリーすることができない。

理由2:根管内の細菌感染はバイオフィルム化(ぬるぬるしたこびりつきになっている)していることが多く、細菌を除去するには、その部分を削ったり、擦ったり、殺菌の液で洗ったり、といったことを行う根管治療で取り除くか、または抜歯をして歯ごと細菌を根こそぎ取り除く、という方法が一番効果的ですし、それしか方法がありません。

②根尖性歯周炎の急性症状が出ている時の抗生物質の服用について

歯がものすごく痛い、腫れている、などの急性症状で、抗生物質が出せれることが多くありますが、基本的には必要ないとされています。但し、ケースバイケースで抗生物質の服用が必要な場合もあります。

健康な人の場合で服用が必要ないケース:炎症の急性期でも適切な処置(無菌的な根管治療で殺菌をする、膿を出す、歯茎を切開して膿を出す)などをおこなえば、抗生物質の服用は必要ないとされています。健康な人間の体には免疫力があり、抗生物質を服用せずとも細菌が全身に広がらないようになっているのです。

健康でも服用が必要なケース①:腫れや痛み等の急性症状に伴い、高熱、リンパ節の腫れなど感染が全身に広がっている兆候がある場合。辛い痛みや腫れが続くことが体が疲労、消耗し健康な人でも免疫力が低下する場合もあり、全身に広がっているサインがある場合は抗生物質の服用が追加で必要です。

健康でも服用が必要なケース②:急性症状があるけれども、歯科医院で治療がすぐに受けれない状況の場合等、感染除去のための根管治療や排膿ができない場合は抗生物質の服用が薦められています。

免疫障害がある全身疾患のある方は服用が必要:急性症状があり、免疫障害がある全身疾患のある方は健康な人よりも免疫力が弱く感染が全身に周りやすいため、抗生物質の服用が必要とされています。

 

参考文献 Evidence-based clinical practice guideline on antibiotic use for the urgent management of pulpal- and periapical-related dental pain and intraoral swelling: A report from the American Dental Association. 2019. Nov;150(11):906-921.e12.

Endodontics and Antibiotic Update. Back to ENDODONTICS: Colleagues for Excellence FALL 2019 ENDODONTICS: COLLEAGUES FOR EXCELLENCE NEWSLETTER

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