根管治療に関する記事を中心に、専門的ながら大切なことを治療例をまじえて、一般の方にもわかりやすく解説しています。
ありきたりな内容ではなく、欧米の論文を精読した内容をベースに信頼性のある有用な情報を発信するよう努めています。疑問に思ったことは徹底的にリサーチします。学会参加報告記や、お知らせ、プライベートのくだらないお話もごくたまに、綴っております。

ヨーロッパ歯内療法学会(ESE)2015参加報告①

2015.09.27 | 学会報告 |

皆様こんにちは。李です。

9月15日からヨーロッパ歯内療法学会(European Society of Endodontology,以下ESE)に参加するためにバルセロナに行ってきました。

夏季休診もくっつけて行ってきましたので長い休診となり患者様にはご迷惑をおかけしました。

今日は恒例の学会報告をブログでお届けします。

ESEは2年に一度開催される学会で、今回で2度目の参加となりました。

毎年参加している米国歯内療法学会(AAE)とはまた違った雰囲気の学会です。

 

入り口案内の看板、AAEよりもロゴがおしゃれです。モザイク柄はバルセロナを象徴していると思われます。

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学会内のフロア案内の表示板、学会の規模に比べて会場が広く、とてもみにくい看板でした

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 おなじみの企業の展示スペース。ESEでは休憩時間にコーヒーや紅茶と、クロワッサンなど軽食がだされるのが嬉しいです。

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毎回写真をとっている学会セット、どの学会もそうですが、年々バッグがチープになっていっています。2年前はもっとちゃんとしたバッグでした。

今回のバッグ紙素材でしたが、4色展開で私は女性なのでおそらくピンクをくれたのだと思います。(個人的には青や緑が好きなのですが

毎回かならずボールペンが入っていますが書きにくいです。日本のボールペンは本当に書きやすくものづくりの品質の高さを再認識します。

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今回は学会の前日に行われる学会参加費とはまた別で有料の実習付きのコースや有料のセミナーを申し込んでいました。

今回の学会で一番楽しみにしていたのは、Dr. Tropeのハンズオンセミナー(実習付きの講義)です。

Dr. Tropeは歯内療法を学んでいる歯科医なら必ず知っていると思われる有名な(数々の重要な論文、素晴らしい講義をされる先生でブログでも何度かご紹介しています)先生です。私はDr. Tropeの執筆された論文で多くを学び、Penn大に行った時や学会に参加した時にも素晴らしい講義を何度か受けているので、今回のハンズオンセミナーは本当に楽しみにしていました。

4時間にわたるセミナーでしたが

 エビデンスに基づき明確なコンセプトに裏付けられた講義と一人一台マイクロスコープを使いながら新しい器具を使っての実習はあっという間で本当に実りの多いものでした。

 

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講義中にはDr. Tropeがしきりに質問はないかと何度も確認しながら進めてくださいまいた。一緒に受講していた欧米の先生方からいろいろな質問が飛び交い、質問の内容についてのディスカッションも興味深かったです。

質問の内容を聞いていると、皆さん本当によく勉強されていて、しっかりと論文を読み込んでいるということがわかり、専門性を常に追求しているんだなと感心しました(歯内療法専門医の学会だから当たり前なのですが)。

実習の内容に関しては次回のブログでお話ししていこうと思います。

 

最後に学会のあいまにちらりと見に行った世界遺産サグラダファミリアの写真で終わりにします。

近くに行くまで見えないので角を曲がったら急に視界に入ってきました。ものすごく大きく存在感が半端じゃなかったです

 

西側の受難のファサード

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東側の生誕のファサード

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9/15(火)~9/25(金)はヨーロッパ歯内療法学会参加のため休診となります

2015.09.13 | お知らせ |

皆様こんにちは。李です。

9/15(火)~9/25(金)はヨーロッパ歯内療法学会参加と夏季休診のため休診となります。

学会参加と夏休みを合わせたために、長期間のお休みとなります。患者様にはご迷惑をおかけいたします。

お休み期間中もメールでのご予約は承っております。ご返信に少しお時間がかかるかもしれませんがスタッフからご連絡差し上げます。

 

2年に一度のヨーロッパ歯内療法学会、今年はスペインのバルセロナで開催されます。前回はポルトガルのリスボンでした。

戻りましたら恒例の学会報告ブログをお届けしようと思っています。(自分が書いていて一番楽しいブログです)

 

 

 

根管治療のリスク〜ファイル破折②感染根管治療〜

2015.08.28 | 根管治療, 根管治療のリスク |

こんにちは。李です。早いもので8月ももう終わりますね。あっというまです。

さて、本日は前回に続き根管治療のリスクであるファイル破折の続きについてお話ししていこうと思います。

前回は抜髄治療(神経をとる治療:根の中に細菌が蔓延していない状態)でファイル破折が起こってしまった場合についてお話しました。

抜髄ケースでは折れたファイルが汚染していない限りは根の中に残ってしまっても大きな問題にはなりません。

では感染根管(根の中に細菌が蔓延して、根っこの病気ができている状態)でファイル破折が起きた場合は?

本日は感染根管(すでに根っこの病気ができている場合)でのファイル破折についてです。

感染根管の治療中に折れてしまう場合、また、もともと折れたファイルが残っている歯を治療する場合があります。

どちらにしても、超音波の振動で揺らしてすぐに取れるような場合は取りますが、食い込んでいるために周りの歯を大幅に削らなければならないようなケースでは歯が割れやすくなるため何がなんでも取るということはおすすめしません。

折れたファイルが感染根管に残ったままで良いのでしょうか?

残ったままだとどういうマイナス面があるでしょう?

 

感染根管の治療で折れたファイルが残ったままだと以下のマイナスな面があります

①折れたファイルより先は殺菌が届かないため、手前までの殺菌しかできない

②折れたファイル自体が汚染している場合は、汚染が残ります。

この2つの問題のせいで病気が治りにくくなる可能性は高まりますが、絶対になおらない、というわけではなく、根管治療で根の中の細菌が相対的に減ることによって治ることも多いのです。

 

もともとファイル破折のある感染根管:折れたファイルが残っていても治癒した一例

 

ファイル破折は根管治療をする上で起こり得るリスクのうちの一つですが、この症例は折れてるだけでなく、根っこの先端から飛び出しています(赤→)。根の周りを取り巻くように大きな病気があります(黄色

治療前のレントゲン写真

このような場合、根管治療で取り除くことはできません。

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根管治療中のレントゲン写真(右)

この歯は全体的な汚染も多く、通常通りの根管治療で殺菌をおこない根管充填をしました。経過観察をして、病気が治らなかったら外科的に治療をおこなう方針です。

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根管充填3ヶ月後。折れたファイル(赤→)は取れなくても、根管の殺菌処置で細菌が減っているため治療前と比べ、病気が小さくなってきています(黄色

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治療後1年経過のレントゲン写真

折れたファイル(赤→)は取れなくても、根管治療だけで病気がほぼ無くなっています(黄色

外科的な治療をしなくても治癒した一例です。

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今回ご紹介したケースは根管治療だけで治癒したケースですが全てがそうではありません。

外科的な処置が必要な場合もあります。まずは根管治療をおこない、治るかどうかを経過観察する必要がありますので、治療前に判断することはできません。

これはファイル破折のない歯でも同じことです。根管治療の成功率は感染根管、再治療の歯では約70~80%だからです。

 

ファイル破折、リーマー破折と言われる問題について2回にわけてご説明しました。

ファイル破折が起こっても、あまり心配なさらずにいてください。問題ない場合も多いですし、問題がある場合も専門医のもとで最終的には解決可能なことが多いのです。

 

 

 

根管治療のリスク〜ファイル破折①抜髄ケース〜

2015.08.07 | 根管治療, 根管治療のリスク |

皆様こんにちは。李です。毎日本当に暑いですね

芝浦から日本橋に移転して早くも半年以上が過ぎました。今年の夏は日本橋でのはじめての夏ですが日本橋は地下通路が発達していて日の当たる道を歩かなくて良いところが嬉しいです。

芝浦の時は田町駅からクリニックまで、ほとんど日陰が無かったのです

 

さて、今日のブログ記事では根管治療における一般的なリスクである『ファイル破折』『リーマー破折』についてご説明していこうと思います。

根管治療の初診ではこういった治療におけるリスクについて必ずご説明しているのですが、思い返してみるとこのブログで、今までリスクについて説明したことがありませんでした。

良い機会なのでしばらくこのテーマを皆様にお伝えしていこうと思います。

 

治療とリスク

根管治療に限らず、どんな治療でもリスクはあります。

例えば、歯を削る治療の時、頬っぺたや舌を傷つけてしまうことがあります。気をつけながら削っていても患者様が急に唾を飲み込んだりして舌が動いてしまうことがあります。

そういった時は削る道具に一瞬あたってしまいます。また上の一番奥の歯を削る時は頬っぺたがかなり近くにあり、どうしても当たってしまうことがあります。

傷は表面的なもので2、3日で治りますが、こういったことも治療におけるリスクと言えます。

またいつもは大丈夫なのに、急に麻酔で気分が悪くなったり、などということはあります。

考えられるリスクに関しては事前にご説明することがとても重要だと考えています。また起こってしまった時には必ずご説明して対処法もご説明することが大切です。

 

根管治療を行うにあたって一番起こりやすいリスクである『ファイル破折』『リーマー破折』

根管治療では細い針のような器具(ファイル、リーマーなどという器具)を根の穴(根管)の探索や根管を拡大する時によく使います。

一番細いものは先端の細さの直径が0.06mmです。

そんなに細いので、力がかかるとすぐに折れます。根管治療中に根管にひっかかって折れてしまうことがあり、これを『ファイル破折』『リーマー破折』といいます。

特に根っこが細くて湾曲している場合に起こりやすいです。

 

湾曲して非常に細い根管(青→

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リーズデンタルクリニックではファイル破折を防ぐために、細いものは歯の治療ごとに使い捨てにしています。何度も使用することでより折れやすくなるからです。Ni-Tiファイル(電動で使用するもの)も細いものは1~2回使用で破棄します。厳重に使用回数をカウントしています。

このように気をつけていても、新品を使用していても、ファイル破折は起こります。

ですので、事前に必ずご説明し、ファイル破折が起こった時にも必ずご説明します。

 

ファイル破折が起こったらどうする?

新品のファイルを使っていても起こってしまうことがある『ファイル破折』起こった時にはどうするかをご説明します。

①細い超音波チップを使用して、振動を与えながら取り除く方法を試みる

浅い位置で起こった時にはこれですぐに取れることが多いです。

②①の方法で取れない場合は周りの歯を少し削りながら細い超音波チップを使用して、振動を与えながら取り除く方法を試みる

深い位置や、根管がまがったところに食い込むように折れてしまった場合は食い込んだ周りの歯の部分を少し削って隙間を作ります。

隙間ができると振動で揺らすことができますので、この方法でとれることもあります。

③折れたファイルを取らずにそのまま残す

②の方法で取れない場合は、周りの歯をもっともっと削らないと取り除くことができません。

根管の歯質を削り取りすぎることは、歯のひび割れにつながります。これは歯の余命を縮めるといっても過言ではないと私は思っています。

なので、歯を削って薄くしてしまうくらいでしたらファイルを残したままにする方が良いと考えています。

破折したファイルがそのまま残っていても問題はないのか?

抜髄治療の場合は、折れたファイルが汚染していない限り問題ありません。

なぜなら抜髄治療は根の中に細菌がいない状態でスタートする治療です。

根っこの病気(根尖性歯周炎)の原因は細菌ですから、清潔な滅菌した器具が折れて根の中に残ってもそのせいで細菌感染がおきて病気ができることはないのです。

もしも折れた器具が汚染した器具だった場合は、そこには細菌がくっついているのでそのままだと病気の原因になります。

万が一ファイルが折れても問題がないように滅菌した清潔な器具を使うことは絶対に守らないといけない治療のルールだと思います。

治療の器具が清潔なだけでなく、その他のルールも守った治療でないといけません詳しくはコチラヘ→ECJのホームページへ

患者様の中では根の中に異物が残っていることに不安を感じる方がいらっしゃいますが、良く考えてみてください、根管治療のあとに充填するお薬もゴムの素材の異物です。

これと同じことだと考えていただければご安心いただけると思います

 

抜髄治療でのファイル破折の1例

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青→の部分は根管が非常に細く湾曲しています

 

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ファイル試適の段階のレントゲンではまだファイル破折は起こっていません(青→

 

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根管拡大のステップで、細いファイルの先端が破折して根管に残っているのが確認できます(赤→

 

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根管充填のレントゲン写真。根管には破折したファイルが残っています(赤◯

経過観察でも特に問題なく病気も発症していません。

 

ファイル破折について、ご理解いただけましたでしょうか?

次回はすでに病気がある感染した根管にファイル破折がある場合についてをご説明していこうと思います

 

 

 

 

 

根管治療で使用する器具は確実な滅菌が必要です

2015.07.24 | 根管治療, 根管治療と器具の衛生管理 |

こんにちは。李です。

前回のブログで根管治療に使用する器具の徹底的な衛生管理の重要性についてお話しました。

今日は引き続き滅菌や消毒に関してお話していこうと思います。

患者様にとっては、殺菌、消毒という言葉は聞き慣れていると思いますが滅菌という言葉はあまり耳にしたことがないのではないでしょうか?

前回のブログ記事で滅菌と消毒の違いについて少し触れてましたが再度おさらいをすると

滅菌とは全ての微生物を完全に死滅させる状態で、消毒は有害な微生物を除去無毒化すること(Wikipediaより)です。つまり消毒では完全に細菌がいない状態とは言えないのです。

 

では、歯の治療で滅菌の器具を使わないといけないのはどうどういう時でしょう?

ここで、スポルディング(E.H.Spaulding)の分類をご紹介します。

医療器具を使用目的と使用部位に対する感染の危険度に応じて医療器材を3つのカテゴリーに分類し、適切な消毒・滅菌方法を示したものです。

 

以下 http://shop.saraya.com/hygiene/category/kigu_eisei.html より引用

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この表でクリティカルと分類される、通常無菌の組織や血管に挿入されるものという定義に根管治療のターゲットである根管が当てはまります。

特に神経を取る処置(抜髄処置)は無菌の組織なので細心の注意が必要です。再治療の場合でも、器具操作で根尖(根の先端)からの長さをはかる作業があり、

その際に治療器具が根っこ穴を通り越すことがあります(穿通といいます)。根の周りの組織には血管がありますので、再治療の場合にも細心の注意が必要なのです

 

滅菌済みの根管治療前の器具たち

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歯科の治療はお口の中で行われますが、お口の中の粘膜は出血もしやすく、もともと歯肉に炎症があったりすると少し触れただけでも血が出ます。

 

このように歯肉炎の状態では、ちょっとふれただけで出血します

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根管治療の器具だけでなく、歯を削る器具や、超音波スケーラー、その他もろもろの器具もお口の中の粘膜に触れますので

徹底的な滅菌管理が必要なのですが、日本の歯科医療の現場ではその意識が低いように感じます。

以前マスコミに取り上げられて問題になった、66%の歯科医院で歯科用タービンの使い回しの問題を見ても意識の低さが伺えます

 

記事はコチラ

http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=99577

 

日本の保険医療制度のもとではコストなどいろいろな問題があるとは思いますが、安心して医療が受けられないのは非常に残念なことですよね

この問題も私が保険診療を行わない理由の一つなのです。

 

 

 

 

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