●根管治療と抗生物質③〜抗生物質を服用するタイミング〜

2014.02.04 | 根管治療と抗生物質 |

皆様こんにちは!李です。昨日とはうってかわって真冬の寒さですね

雪との予報ですが、ちらちらと降ってきましたね。とても寒いので風邪に注意してくださいね。

 

さて、HPリニューアル後、はじめての根管治療の記事です。

引き続き、根管治療と抗生物質についてお話を進めていきますね。

パート①、②では、根管治療の痛みには、根管治療によって細菌を取り除くことと、炎症の過程で発生するケミカルメディエーターにダイレクトに働きかける鎮痛剤の組み合わせが一番良いとお話ししました。

ただ、抗生物質を服用するべきときも、確かにあります。

それは、感染が全身に広がろうとしている兆候があるときです。

さて、その兆候とは?

 

それは熱がでる、顔が腫れる、リンパ節が腫れる、腫れのせいで口が開かないなどです。

かつて私は、歯肉が腫れているとき、膿みが出ているときなどに患者様に抗生物質を服用していただいていましたが、ASHRAF F. FOUAD『Are antibiotics effective for endodontic pain? An evidence-based review. 』Endodontic Topics 2002を読んでからは、明確な基準ができました。歯肉の腫れや、膿みがでているかどうかは、局所の炎症です。全身に広がっている感染ではありません。

 

熱がでる、リンパ節が腫れる、

これは、宿主の免疫力と細菌のバランスがくずれた状態と言えます。

通常、私たち人間の体には細菌を抑える免疫力というものが備わっています。

たとえば、切り傷などでいちいち抗生物質を飲む人はいないと思います。傷から多少細菌が入っても血液内の免疫細胞が細菌をやっつけますので、全身に細菌が広がらず治癒します。

パート②でお話したように、根の中には血の流れがないので、体の力で根の中の細菌は自然とやっつけられないのですが、根の中から出た細菌がひろがらないように体は働いているのです

それが体の免疫力です!!

体の免疫力と細菌のバランスは綱引き状態で拮抗しているのです。宿主の抵抗力が落ちてしまうと、バランスが崩れて、細菌が勝ち感染が全身に広がってしまうのです。

そう聞いても、ピンとこないかもしれませんね、簡単にご説明すると

体の免疫力→感染が広がらないようにしている

根管治療→感染源(細菌やその栄養源)を取り除く

です。

人間の体ってすごいなあ、って思います

 

ですので、熱がでる、顔やリンパ節が腫れる、は宿主の抵抗力が細菌に負けて、感染が広がっていると判断し、抗生物質の助けが必要となるのです。重度の場合は入院が必要な場合もあります。また、もともと免疫力が低下してしまう、感染しやすい病気を持っている患者様にも抗生物質が必要です。

 

 

さて、ここで論文の紹介です。

根の周りの痛み(根尖周囲の症状)に抗生物質は効果があるかどうかを調べた4つの論文をご紹介します。

神経が死んでいる歯(壊死歯髄)で、根の周りの痛み(根尖周囲の症状)がある場合に、根管治療+鎮痛薬の治療をおこなった場合、根管治療+抗生物質服用の場合で比較しています。

Fouad AF(ooo.1996)、Henry M et al.(J.Endod 2001) 、Torabinejad Met al. (J.Endod 1994)、Torabinejad M et al.(J.Endod 1994)

4つのうち、Torabinejadらの研究では抗生物質が重度の痛みに効果的という結果でしたが、他の2つの研究は影響無しという結果です。ここで問題なのは、Torabinejadらの研究は比較サンプルに偏りあると指摘され、信頼度が劣ります。

 

結論:

根管治療の痛みで、健康な患者様では局所の腫れで、抗生物質は必要ありません!!