LEE'S コラム
LEE’S コラムでは文献に基づいた情報と当院の見解を記事形式で発信しています。
歯の根のひび割れ(垂直性歯根破折)の頻度は日本は諸外国に比べ2~3倍多い!!
歯を失う原因のうちの一つ垂直性歯根破折(根のひび割れ)は根管治療を行った歯に多く見られます。根管治療をした歯が虫歯や歯周病に罹患しなかった場合、行き着く先は歯根破折と言っても過言ではありません。歯根破折の起こりやすい歯は奥歯と小臼歯ですが、繰り返す根管治療や太いポストを入れるなどで根管が薄くなりすぎると、日々の食事や噛み締めなどの負荷から、歯根破折の発症を早めることがが研究から立証されています。したがって最初の治療で失敗させない、削りすぎないことが歯のその後の寿命を大きく左右します。再治療の歯の場合、過去受けた治療で既に歯根がダメージを受けて耐久性が損なわれているのです。残念ながら根管治療では歯を丈夫にして寿命を伸ばすことはできないのです。
日本の一般歯科では、技術的な問題、時間の問題、保険診療の治療費用の問題から適切な治療が難しく、低い成功率のため、治療の失敗から後に再治療が必要になることが多く、厚生労働省の統計のページからも初回根管治療の数よりも再治療の保険請求が多いことから、初回治療より多く再治療が行われていることが窺われます。再治療になると更なる治療で歯根が薄くなり、ストレスがかかり歯の耐久性を弱め将来の根のひび割れリスクが高くなることがわかっています。
また初回根管治療でも、治療費が安価なため、治療に時間を長くかけられない、効率的に早く治療を行うため(見やすく、器具を届きやすくするため)、歯が削られすぎてしまう、などの弊害もあります。日本における歯根破折の頻度は諸外国に比べ高い数字が報告されているのもこういった弊害よるものと思われます。
初めての根管治療を失敗させない、歯を削りすぎないことが歯の寿命のために非常に大切なのです。