生活歯髄療法とは歯の神経(歯髄)を温存するための治療方法です。

歯髄壊死(神経が死んでしまっている)の場合は適応外です。

歯髄炎の症状がある歯や神経に近い深い虫歯がある場合の治療で根管治療(抜髄治療)以外の選択肢です。虫歯菌の影響で弱った神経(炎症を起こした歯髄)を部分的に切断し、健全な状態と推測される歯根歯髄(歯の根の部分の歯髄)を保存します。

感染源を取り除き、病的な歯髄を切除することで温存した歯髄は自己治癒し、健康度を取り戻します。歯にラバーダムを装着し、マイクロスコープを使用して無菌的処置を行うことが治療成功のために必須です。

生活歯髄療法の成功の鍵は神経の健康度合い

生活歯髄療法が成功しやすいケース

術前の神経のダメージが少ない場合

歯髄炎が軽度なほど、健康な歯髄の割合が多いため健康な歯髄を温存できる可能性が高く、治療が成功しやすいです。

生活歯髄療法が成功しにくいケース

神経のダメージが大きい場合

生活歯髄療法で病的な歯髄を切除できる範囲は限られているため、温存した歯髄が健全でない(炎症で弱っている)場合、術後に壊死してしまい治療が成功しない場合があります。

そのため歯髄炎が重度のケースでは歯髄の部分切除(生活歯髄療法)より全部切除(抜髄)が適しています。

歯髄の健康度合いの見分け方

歯髄炎の重症度は痛みの度合いや、神経の診査である程度予測しますが、痛みの感じ方は個体差もあり不確実性を伴います。実際のところは細胞レベルで観察しないとわかりませんが細胞は観察できないため、術中に歯髄からの出血の有無や量を目安に判断します。歯髄から出血が見られない場合は、または大量に出血がある場合は、重度の歯髄炎、または歯髄壊死となり、抜髄治療に移行する場合もあります。

生活歯髄療法の成功率

生活歯髄療法の成功率は術式や歯の状態によってだいぶバラツキがあり、30%代〜90%代と報告されています。
このバラツキ度合いが神経の健康度の見極めの難しさを表しています。
治療成功の鍵となる神経の健康度を見極めるのが難しいため、一般的にはより確実な抜髄治療が選択されることが多いのが現状です。
(専門医が行う抜髄治療の成功率は95%程度でバラツキはありません)
望みがあるなら神経を保存したい、後に失敗してその時に根管治療をすればいい、と思われる方にはオススメですが、確実な結果を求める方は抜髄治療が適していると言えます。

生活歯髄療法の術式

生活歯髄療法には術式がいくつかあります。
そのうち当院で行なっている生活歯髄療法は
神経を露出させて、ダメージのある神経を切断し、健康な神経を保存する方法(断髄)です。

ダメージを受けた神経を部分的に切除し、健康な神経を残す方法(断髄法)

レントゲンで神経まで黒い影が進んでいる深い虫歯です。冷たいものや温かいもので痛みを感じます。

  • 虫歯の影が神経と重なるほど大きな虫歯

    虫歯の影が神経と重なるほど大きな虫歯。

  • 隔壁を行いラバーダム装着、消毒をしてから虫歯をそめだしながら神経を露出させます。

    隔壁を行いラバーダム装着、消毒をしてから虫歯をそめだしながら神経を露出させます。

  • 露出した神経は細菌の刺激で炎症があるため、出血が多いです。

    露出した神経は細菌の刺激で炎症があるため、出血が多いです。

  • 出血しなくなるところまで神経を切断します。この出血の度合いが神経のダメージ度合いの目安になるという報告も多いです。

    出血しなくなるところまで神経を切断します。この出血の度合いが神経のダメージ度合いの目安になるという報告も多いです。

  • 切断した神経の上には滅菌器具を使用して練ったMTAを置きます。

    切断した神経の上には滅菌器具を使用して練ったMTAを置きます。

  • MTAは固まるのに時間がかかります。それまでの間、お口の中から細菌が入らないよう封鎖性の高い素材を充填します。

    MTAは固まるのに時間がかかります。それまでの間、お口の中から細菌が入らないよう封鎖性の高い素材を充填します。

  • 虫歯の影が神経と重なるほど大きな虫歯

    治療前レントゲン

  • 生活歯髄療法 部分断髄のレントゲン写真

    治療後レントゲン

3ヶ月後、痛みは腫れなど悪くなる症状がない、かつレントゲンで根の周りに黒い影ができなければ成功と判断できると言われています。
成功と判定されましたら、被せる治療に進みます。

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