根管治療に関する記事を中心に、専門的ながら大切なことを治療例をまじえて、一般の方にもわかりやすく解説しています。
ありきたりな内容ではなく、欧米の論文を精読した内容をベースに信頼性のある有用な情報を発信するよう努めています。疑問に思ったことは徹底的にリサーチします。学会参加報告記や、お知らせ、プライベートのくだらないお話もごくたまに、綴っております。

クラウンかインレーかどうやって選ぶ?② 虫歯になりにくい方は?

2016.12.10 | 精密クラウン治療, 虫歯予防、歯周病予防 |

こんにちは。李です。

前回のブログでご紹介した『ぶんぶんキャッツ』、患者様からおもしろい!!かわいい!!とのお声をいただいています。

まだご覧になっていない方も是非見てみてください

http://boonbooncats.blog.so-net.ne.jp/

 

さて、今日は神経が生きている歯の治療方法で、クラウンかインレーかどうやって選ぶ?違いは何か? というテーマの二回目です。

主に奥歯の虫歯治療で、クラウンか、インレーかの治療方法を患者様にご提案すると皆さま悩まれます。前回は強度に関して、割れにくいという観点で長持ちにはどちらがいいかというお話しをいたしました。

 

おさらいとなりますが、再度はじめからご説明します。

 

クラウンかインレーか、どちがあなたの歯の治療に適しているのか?

 

この問いに対して、絶対コレ!!という答えはありません。

(今回は材質については触れませんが、セラミックか金属か、というのも同様です)

なぜなら、どちらがより良いかは患者さまのご要望歯の状態虫歯の位置、大きさ、虫歯を取った後の歯の量、厚み、噛み合わせの状態、歯ぎしりくいしばりの習癖の有無、虫歯のリスクが高いか、セルフケアができているか)によって変わります。

また、定期的なメンテナンスに通院可能かどうか、なども考えます。

患者さまのご要望は

①歯をなるべく削りたくない

②割れない素材で、なるべく長持ちしたい

③その後虫歯になりにくい方が良い

④費用対効果

というものがメインです。

このご要望の中で①と②③④が相反するものなのです

この4つの中で何が最優先かは患者さまそれぞれで違います。

 

と、ここまでは前回と同じことを言っています。

 

今日は③その後虫歯になりにくい方が良い について私の見解をお話ししていこうと思います。

 

その後虫歯になりにくいのはインレー、クラウンどっち?

 

治療が精密治療で、セルフケアができていればどちらの治療でも虫歯になりにくいです。

セルフケアがうまくできていない場合クラウン治療の方が虫歯になりにくいと思います。

 

その理由を虫歯の成り立ちから考えてみましょう

 

虫歯のはじまりは、歯垢の中の虫歯菌の酸で溶け(脱灰)ることです。

一方セラミックや金属は溶けません。

また歯の表面が酸で溶けるとザラザラします。そうするとより歯垢がつきやすくなるという悪循環になります

 

酸で解ける天然の歯、酸で溶けない人工の歯 

 

下の写真は天然歯とセラミッククラウンの比較です

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天然歯、酸で溶けている状態

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酸で溶けないセラミッククラウン

こびりついた歯垢をとると、、、溶けてます(部分)。これが虫歯のはじまりです。

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セラミックは酸で溶け(脱灰)ません。

セラミックのクラウン。酸で溶けない上に、つるつるしているので歯垢もつきにくいです

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いつもこのように歯のまわりに歯垢がついていて、セルフケア指導後もなかなか改善できない患者様の虫歯治療の場合は、インレー治療で今ある虫歯を取り除いても残った歯の部分はまた酸で解けてしまいます

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青部分はセラミックでそれ以外は歯のエナメル質です。このエナメル質の部分はプラークコントロールができていないと、細菌の酸で溶けて虫歯が進行する可能性が有ります。

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下の写真はゴールドの部分的なアンレー治療をおこなっていますが、クリーニングでお越しの際のプラークチェックで歯のまわりにプラークがだいぶ付いていましたので、患者様にお見せして、せっかく治療したのにこの状態ではゴールドで覆われていない部分が虫歯になってしまうとお話しし、セルフケアの改善に取り組んでもらっています。

 

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プラークコントロールができない方の虫歯治療には、クラウン治療の方が虫歯になりにくいと言えますので、クラウン治療をお勧めします。

けれども、クラウン治療にすることで、歯をより多く削ることになります。

歯をなるべく削りたくない方で、プラークコントロールを改善できる、定期的なメンテナンス、クリーニングに通える意思がある方には

インレー治療が合っていると言えます。

 

歯のお手入れを頑張ることで、歯をなるべく削らないインレー治療を選択した患者様の治療例

 

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治療前の状態。歯垢がこびりついていて、このままのお手入れ状況でインレー治療をおこなっても、溶けた部分がいずれ進行することが予測できます。

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インレー治療後、 プラークコントロールが改善し、こすっても歯垢はついてません。この状態を維持できれば溶けた部分は進行しませんので安心です。

 

 

 

 

クラウンかインレーか どうやって選ぶ? ①強度編

2016.10.23 | 歯のまめ知識, 精密クラウン治療 |

 

こんにちは。李です。

今日は神経が生きている歯の治療方法で、クラウンかインレーかどうやって選ぶ?違いは何か? というテーマについてお話していこうと思います。

主に奥歯の虫歯治療で、クラウンか、インレーかの治療方法を患者様にご提案すると皆さま悩まれます。症例をまじえながら解説いたしますね。

 

クラウンかインレーか、どちがあなたの歯の治療に適しているのか?

 

この問いに対して、絶対コレ!!という答えはありません。

(今回は材質については触れませんが、セラミックか金属か、というのも同様です)

 

なぜなら、どちらがより良いかは患者さまのご要望歯の状態虫歯の位置、大きさ、虫歯を取った後の歯の量、厚み、噛み合わせの状態、歯ぎしりくいしばりの習癖の有無、虫歯のリスクが高いか、セルフケアができているか)によって総合的に判断する必要があるからです。

また、定期的なメンテナンスに通院可能かどうか、なども考えます。

 

患者さまのご要望は

①歯をなるべく削りたくない

②割れない素材で、なるべく長持ちしたい

③その後虫歯になりにくい方が良い

④費用対効果

というものがメインです。

このご要望の中で①と②③④が相反するものなのです

この4つの中で何が最優先かは患者さまそれぞれで違います。

数回に分けて、この4つのご要望についてご説明します。

 

①歯をなるべく削りたくない

はい、誰でもそうだと思います。

削る量が少ない治療はインレー治療です。

 

セラミックインレー治療例

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インレーの形の一例、虫歯の位置や大きさによって削る量は変わります

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インレー装着後

 

②割れない素材で、なるべく長持ちしたい

④費用対効果

治療した歯が長く使えれば使えるほど費用対効果が良いと言えます。

(*ここでいう長く使える、というのは強度の問題です)

クラウンとインレーを比較すると、強度的に長持ちなのはクラウンです

長年の経験から欠けない、割れない、外れないという意味ではクラウンの方が長持ちだと思います。

注:これはもちろん治療が適切であることが前提です。また、セラミックと金属の比較となると変わってくる場合もあります

なぜインレーの方が欠けやすいか、ご説明します。

 

インレー治療のデメリット

インレー治療は、歯の咬む面に境界があるため、インレーと歯の境界の薄い部分が欠けやすいです。金属の素材ですと、金属は欠けませんが歯が欠けます。セラミック素材ですとセラミックと歯の両方が欠ける場合があります。

注:欠けやすさは噛み合わせ、はぎしりや食いしばりなどの癖があるかどうかに大きく関わるので個人差があります

 

Case1:  装着後から5年で欠けたセラミックインレー

クラウンかインレーか 症例1

装着直後のセラミックインレー

クラウンかインレーか 症例2

4年経過,境界の薄い部分が一部欠けています。こういったところに歯垢が入り込むと虫歯になることがあります

クラウンかインレーか 症例3

5年後、完全に欠けています、赤い印は上の歯と噛みこんでいるところをマークしたものです

 

どのくらいで欠けてしまうかは歯の量、厚み、材質、歯ぎしりや食いしばりの癖があるか、などによって個人差があります。

上のケースは比較的歯が分厚く残っていますが、歯が薄い場合で、そこに上の歯が噛みこんでいる場合はより歯が欠けやすいため削って覆うことをおすすめします。

 

Case2: 歯が薄い場合でもインレー治療がいい場合はどうするか?

虫歯の位置や大きさ、削るデザインによっては歯が薄い部分ができます。歯を削らないインレー治療をご希望の場合は、極力薄い部分を残さないようなデザインを考えます(アンレータイプというものです)。治療して短期間で欠けてしまい再治療になる、なんてことにならないためにです。

 

クラウンかインレーか 症例4

歯の薄い部分に噛み込みのマーク(赤)がついています、すでに歯に亀裂もあります。この形でインレーを作っても欠けやすいことが予想できます。

クラウンかインレーか 症例5

歯の山の部分も噛み込みのマーク(青)がつき、亀裂が入っています

クラウンかインレーか 症例6

薄い部分は削ります

クラウンかインレーか 症例7

薄い部分と亀裂のあった歯の山の部分を覆ったアンレータイプのデザインで、歯を欠けから守ります

 

Case3: インレーより強度が高いクラウン治療

治療した歯がなるべく長持ちしたい場合は歯を削る量が多くてもクラウンをお勧めします。

(*クラウンには歯を多く削るというデメリットがあります。それでも強い方が良いならクラウンです)

クラウンかインレーか 症例8

クラウンの場合は歯を全周削りますので歯を削る量は多くなります

クラウンかインレーか 症例9

一番強度が高いのは金属のクラウンです。歯にすっぽり被せるので噛む面に境界はありません

クラウンかインレーか 症例10

セラミックのクラウンは材質的にはガラス素材なので絶対に割れないとは言えませんがセラミックインレーよりは強度が高いといえるでしょう

 

 

余談ですが保険の治療でも、クラウンの治療をおこなった歯は2年間は保険でやりなおしができないルールになっています。保険でのインレー治療にはそういったルールはありません。クラウンより長持ちしないという認識なのでしょう。クラウンの2年間というのも短すぎると思いますが

 

このように、長持ちする、強度が高いという側面で考えるとクラウンの方が良いと言えますね。

けれども歯を多く削らなければいけないというデメリットがあります。

では、歯を多く削ることがどういう意味でデメリットとなるのかは次回のブログ記事でお話したいと思います。

ちなみに、Case1でご紹介した5年で欠けてしまったセラミックインレーの患者様は、クラウンにはしないでまたセラミックインレーを選択されました。

歯を削りたくない方は、長持ちよりも削らない治療を選択されます。

●良いクラウンとは?〜見た目が白くて綺麗なだけでは駄目なんです〜

2014.07.03 | 歯のまめ知識, 根管治療後の治療, 精密クラウン治療 |

皆様こんにちは。李です。

毎日本当にジメジメしていて体がスッキリしませんね。早く梅雨が明けて欲しいです

6月はバタバタしており、腰を据えてブログに取り組む時間がありませんでした。

お休みの日に集中して調べ物や論文を読む時間を捻出したいものです。書類系や調べもの、ブログの記事を書いたりする時間は大切です。

 

さて、前回はクラウンをはずさないで根管治療できる場合、できない場合をテーマに記事を書きました。

今日は『クラウンの適合、精密度』についてお話していきたいと思います。

クラウン(歯のかぶせもの)は、どういった基準で良い、悪い、を評価すれば良いのでしょうか?

 

患者様の視点では、見た目が白くて自然で綺麗であること、が大切なのではないかと思います。

また、違和感がない事、噛み合わせが適正である事、食べ物がつまりにくいこと、なども大切な要素ですね。

 

でも、一番大切なことは適合だと思います。適合とは歯にぴったりとあっていること。

つまり隙間や段差がないことです。

 

さて、これはどういうことでなのでしょうか?患者様はあまりピンとこないと思いますので、以下にご説明して行きますね。

 

LEE`S DENTAL CLINICでは根管治療の時だけではなく、検診やクラウンの適合チェック、セルフケアのチェックなどにもマイクロスコープを使用するようにしております。

そうすると、不適合なクラウンのマージン(辺縁部分)にはかならず歯垢(プラーク:細菌の膜のようなもの)がたっぷりついています。

歯のクリーニングをしていて歯垢(プラーク:細菌の膜のようなもの)の染め出しをおこなってみると、適合の悪いクラウンのまわりにはたっぷりとプラークがついていますし、そのせいで歯肉が炎症をおこしています。

お手入れが上手な方でも適合の悪いクラウンのところにはいつもプラークがついていて、うまくとれていないのです。

このプラークは細菌の塊のようなもので歯周病、虫歯の原因です。日々のセルフケアや歯のクリーニングで取り除いてあげないと、病気を呼び寄せます。

どんな風に、ついているか見てみましょう。

 

下の写真は保険治療の銀のクラウンの写真です。(部にプラークが停滞しています)

 

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かきだしてみると。。。

DSC01859

 

 

こんなにごっそりとでてきます

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こんな状態で、2、3年も経過したらクラウンの内部で虫歯が進行したり歯周病が進行します。

 

もう一つ症例を見てみましょう。

 この保険治療の銀のクラウン、歯ぐきが退縮して歯の根の部分が露出しています(↓部

この歯ぐきの退縮自体は問題ではなく、加齢とともに起こりやすくなります。(ここを虫歯にしないようにお手入れする事はとても重要です!!この話はまた別の機会にします)

茶色くなっているのは虫歯ではなくて、着色です。プラークもこの部分にはついていません。この患者様は歯磨きが綺麗にできていらっしゃいます。

しかし!!! 赤い↓に注目です。ここにかなり大きな段差(でっぱり)があります。

DSC01743

 

器具で探ってみると。。。。

こんなにたっぷりプラークがついています。クラウンの段差の下に住み着いていて、お手入れではうまく取れていないのです。。。

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もし、このクラウンにこんな段差がなければ、適切なお手入れでプラークはつかないはずです。

 

どうでしょうか、クラウンの適合って、歯の予防にとって本当に大切だと思いませんか?

クラウンと歯の間にはかならず境目があります。異なる素材同士なので、境目があることはしょうがないことです。

ただ、この境目がぴったりとあっていることが大切です。

隙間があったり、段差があるとそこにプラーク(細菌)がくっつきやすく、歯磨きやフロスでも取りにくくなります。

細菌がくっつきやすい環境ができると、虫歯や歯周病がおこりやすくなります。

 

下の写真は当院でのセラミッククラウン治療ですが、精密に作業をすすめても、型取り材料の変形や、

ラインのとり間違えなどで、少し隙間が出来てしまう時があります。(青→部)

このようなときは、もちろんやり直しております。

 

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下の2歯は両方ともセラミッククラウンです。このような仕上がりをめざして日々治療をしております。

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 このような適合の良いクラウンを作製するために、どういう治療をおこなっているかをホームページの精密治療のところで詳しくのところでご紹介しています。こちらも参考になさってくださいね

クリック!!

精密治療

 

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