根管治療に関する記事を中心に、専門的ながら大切なことを治療例をまじえて、一般の方にもわかりやすく解説しています。
ありきたりな内容ではなく、欧米の論文を精読した内容をベースに信頼性のある有用な情報を発信するよう努めています。疑問に思ったことは徹底的にリサーチします。学会参加報告記や、お知らせ、プライベートのくだらないお話もごくたまに、綴っております。

根管治療時のラバーダム防湿の意義 PART3/わかりやすいムービーの誕生です!!

2012.11.17 | 根管治療 ラバーダムの意義 |

こんにちは!李です。

前回までのブログで根管治療時のラバーダム防湿の重要性、意義について記事を書いてきましたが同じ様な内容をさらに分かり易く、見やすくしたムービーが、Penn Endo Study Club in Japanhttp://pescj.org/のホームページに掲載されました。
私も少しだけ制作のお手伝いをさせてもらいましたので、ここでも宣伝したいと思います。
このムービーはかなり良い仕上がりになっております。ラバーダム防湿についてここまでまとめた動画はおそらく国内初ではないかと思います。すばらしい出来映えですぜひご覧になってください!


このムービーで皆様に根管治療時のラバーダム防湿の重要性と保険治療のシステムの問題点をよりご理解いただけるようになることを願います

LEE’S DENTAL CLINICの米国式根管治療のページも、今週からさらに内容を付け加え充実したものにバージョンアップしております。上のムービーもいつでも見ることができますので、そちらも合わせてご覧ください

(メインとなる動画のお仕事を一手に引き受けてくださったO先生、おつかれさまでした

●根管治療、ラバーダムの重要性 PART2

2012.11.08 | 根管治療 ラバーダムの意義 |

みなさまこんにちは!
最近ジョギングをはじめた李です(まだ2回です)。
腰、肩、首を痛めてからは、健康に対する意識がぐっと高まりました。
いつまでも元気で溌溂と仕事ができるように、体のメンテナンス頑張ろうと思います
さて、前回は急遽初めての鍼治療報告になりましたが、今日は根管治療で最も重要な処置のひとつ、ラバーダム装着の重要性PART2です。

前回は根尖性歯周炎の原因が細菌である、ということをメインにお話しました。
そして、ラバーダム装着の目的として、唾液さえ入らなければ良い、ということではないということで締めくくりました。
もちろん、唾液の中にも細菌はたくさん存在するので唾液が入らないようにすることも非常に大切です。でも、それ以外にもラバーダムを装着するメリットはたくさんあるのです。

下の写真をご覧ください。この歯は過去に神経近いところまでの重度の虫歯でインレー治療がおこなわれましたが、凍みる症状が1年以上おさまらず、最近痛みが増大してきたため、当院を受診され歯の診査をおこない、不可逆性歯髄炎と診断し、抜髄治療を行うことになりました。

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治療を行う前にプラーク(歯垢、細菌)を染め出してみたところ、こんなに染まってきます。歯の周りには通常これだけ細菌がこびりついているのです。細菌を根管内に入れたくないのに、歯自体に細菌がこんなにこびりついています。
こんな状態で根管治療をおこなったら、細菌が侵入しやすいと思いませんか??

ラバーダムを装着することで、高濃度の消毒剤で歯のまわりをしっかり消毒できます。
このような感じです。
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2種類の消毒剤を使用して、歯だけでなく周りのゴムの部分も消毒します。
歯の周りもペースト状の材料で、すきまを埋めています。こうすることで高濃度の薬剤が滲みだすことも防いでいます。歯の消毒剤だけでなく、根管治療で使用する洗浄液も効果の高い濃度のものを使用できますし、器具がお口の中に
誤って落下するのも防ぎます。
感染防止の面でも、安全面でもラバーダム装着は大活躍なのです

この本当に大切なラバーダム装着は、保険では0円なのです
材料費も、手間もかかることなのに0円とは
保険治療をおこなう歯科医の先生は、赤字になってしまう処置をボランティアでおこなうことになるのです。日本の保険診療のシステムは本当におかしいです

ラバーダム装着の重要性、ご理解いただけましたでしょうか?
細菌を排除するのに、唾液だけブロックするのでは不十分なのです。それ以外に高濃度の薬剤で歯の周りの消毒が必須です

●根管治療、ラバーダム装着はどうして必須なのでしょうか?PART1

2012.10.20 | 根管治療 ラバーダムの意義 |

皆様こんにちは!
今日は久しぶりにすっきり快晴、さわやかで気持ちのよい土曜日ですね
夏からずっと朝型生活にしていますが、この時期の朝の空気は最高ですので少し早起きをしてウォーキングなんか、おススメですよほんっとーに気持ちいいです

さて、今日は根管治療で欠かせない基本中の基本の処置であるラバーダム装着について、お話していこうと思います。
振り返ってみると、ラバーダムについてちゃんとブログで紹介したことはなかったな〜と思います。
これを機会に皆様にラバーダム装着の意義を知っていただきたいです。

このブログで何度も何度も書いていますが、根管治療の目的は細菌の除去です。
感染根管では細菌をできるかぎり除去すること、抜髄では、根管内に細菌が入らないようにすることです。
なぜなら、根尖性歯周炎(皆様がお悩みの根っこの病気)の原因が細菌だからです。つまり、細菌さえいなければ根尖性歯周炎は起こらないのです。
この、根尖性歯周炎の原因が細菌であることを実験して証明したとても重要な論文があります。
Kakehashi S (1965)『The effects of surgical exposures of dental pulps ingerm-free and conventional laboratory rats.』

この論文では、無菌のマウスと、普通のマウスの歯を削り、露髄させて(神経に穴をあける)その後の経過を42日まで観察しています。
そして42日後、普通のマウス群は全ての歯の神経が死んでしまい根尖性歯周炎がみられたのに対し無菌のマウス群は神経の治癒がみられ、健康な状態のままだったいう結果です。
このことから、細菌がいなければ根尖性歯周炎が起こらないということが証明されました。

イラストがあった方がわかりやすいかな?と思い自分で作ったスライドがこちらです。
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1965年の時点でこのような論文が世にでているのに、日本でラバーダムが普及していないのが不思議でなりません。

さて、このように根管治療は細菌との戦いです。
しかしながら口腔内は細菌がたくさんいます。
唾液の中にも細菌はたくさん存在します。
そんなお口の中で、細菌と戦う根管治療をおこなうためにラバーダムが活躍しますが、
歯科医でもよく勘違いしている方がいらっしゃるのですがラバーダム装着は、唾液を入らないようにするためだ、と思っている方がいるようです。
そんな方は、『唾液さえ入らないように工夫すれば、ラバーダムはしなくていい』とおっしゃいます。
もちろん、唾液には細菌がたくさん存在するのでこれは間違っていないのですが、ラバーダム装着の効能は唾液の排除だけではありません。

ではそれ以外のラバーダム装着の意義は何でしょうか?PART2に続きま〜す

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