根管治療に関する記事を中心に、専門的ながら大切なことを治療例をまじえて、一般の方にもわかりやすく解説しています。
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●クラウンをはずさずに根管治療できる場合、できない場合

2014.06.05 | クラウンをはずさない根管治療の基準 |

こんにちは。李です。

久しぶりのブログ更新となってしまいました。

全国的に梅雨に突入したとのこと、毎日ジメジメが続きますが皆様体調くずしたりしないよう気をつけてくださいね。

 

さて、本日のテーマは根管治療をおこなう際には必ずクラウンをはずさないといけないかどうか、についてをテーマにしたいと思います。

患者様からのお問い合わせで『歯が痛く、根管治療が必要と言われました。でも、前歯のセラミックは4年前にやりかえたばかりなので、はずさないで治療する方法はありませんか?』というお悩みがよくあります。

金属であれ、セラミックであれ、クラウンをはずさずに根管治療(根の中の細菌をやっつける治療)する方法は奥歯ならクラウンの上から、前歯なら裏側から穴をあけて、根の中にアプローチをする方法が一般的です。(再根管治療歯で根管治療がレントゲン上適切におこなわれている場合には、根管治療自体をおこなわずに、歯根端切除術をおこなうケースもありますが、これに関しても今回の考えがあてはまります)

 

こんな感じです。

fromswartz

RS. Schwartz et al. Adhesive Dentistry and Endodontics: Materials, Clinical Strategies and Procedures for Restoration of Access Cavities: A Review (2005)より

 

ただし、どんな歯でもクラウンをはずさずに根管治療できるわけではありません。

では、どういうところで見分けていくのでしょうか?

レントゲンでわかるのか?それとも、目で見ただけでわかるのか?

 

以下に順をおってご説明していきますね。

まず前提として理解しなければいけないのは、

『根っこの病気ができてしまっている歯は根の中に細菌が蔓延している』のです。

 

ではその細菌はどこからきたのか?

以下の3つが考えられます。

 

①そもそも歯に虫歯が残っている場合

②クラウンや詰め物に隙間があり、そこからお口の中の細菌、や細菌の栄養源が根の中に入る場合。

(歯に深いひびがある場合もそこから細菌がはいります)

③以前の治療がラバーダムを使用した無菌的治療でない場合は、治療行為自体で根の中に細菌が入ります。

無菌的な治療について、より詳しい情報はこちらへ)

ECJ

 

 

細菌をやっつける根管治療ですが、

根の中の細菌を殺菌しても、歯の内部(クラウンをはずしたなかに)に虫歯があれば、ばい菌の巣をのこしているようなものです

この虫歯はレントゲンでわかる場合、目で見て(肉眼ではなく、下の写真のように顕微鏡下でも)わかる場合、またわからない場合があります。

レントゲンでも目でも虫歯が確認されなかった場合は、クラウンを壊さずに根管治療をおこなうひとつの目安となりますが、100%確実とは言えず、もしかすると隠れた場所にある虫歯(細菌の巣)を見落としている可能性があるのです。その場合根の病気の再発のリスクが高くなります。

 

一番確実なのは虫歯の取り残しがないか、目で確認することです。

また、虫歯がなくてもクラウンに隙間があれば、お口の中の細菌や栄養源が根の中に流入してしまい、よくないです。

以下に症例をひとつ見て行きましょう。

 

下の前歯、根管治療が必要な歯なのですがセラミックのクラウンがはいっています。

この状態で虫歯があるかどうか、わかりません。

badcrown4

 

 レントゲン写真から、根っこの病気ができていること、根の治療も適切でないこと、

そしてクラウンと歯の境目のつなぎ目が綺麗でないことがわかります(赤→

隙間がありそうだな、虫歯かもしれないな、ここから細菌がつねに流入していそうだな、と予測します。そしてクラウンもやりかえないと細菌の通り道をふさぐことができないと考えます。

badcrown6

 

患者様状況をご説明し、クラウンをはずすと、こんなに虫歯になっていました。 

badcrown5 

 

上の症例はレントゲンからあきらかに隙間、虫歯がありそうだなということがわかりましたが、つぎに、見た目で判断する場合はどういうところを見て行くのか?を症例とともに見て行きましょう。

 

下の写真ではクラウンと歯の境目に虫歯がみえます(赤→)くぼみになってしまっていて、歯ブラシが当たりにくく、プラーク(歯垢)も蓄積しています。ばい菌のせいで歯肉も炎症をおこし赤くなっています(紫→

 badcrown2

 

下の写真もセラミッククラウン下の虫歯と細菌による歯肉炎がおこっています。

 badcrown1

 

 

顕微鏡で拡大し、チェックし隙間を発見します(赤→

badcrown3

 

 

このように、クラウンをはずさないで根管治療ができるかどうかの判断は、レントゲンの検査と顕微鏡で拡大し、歯とクラウンの境目チェックして隙間虫歯がないかどうかをみていくのです。

これらをクリアしても100%大丈夫とは言えません。

一番確実なのは、はずしてすべて目で見て確認することなのです

 

 

 

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