根管治療に関する記事を中心に、専門的ながら大切なことを治療例をまじえて、一般の方にもわかりやすく解説しています。
ありきたりな内容ではなく、欧米の論文を精読した内容をベースに信頼性のある有用な情報を発信するよう努めています。疑問に思ったことは徹底的にリサーチします。学会参加報告記や、お知らせ、プライベートのくだらないお話もごくたまに、綴っております。

●根管治療、ラバーダム装着はどうして必須なのでしょうか?PART1

2012.10.20 | 根管治療 ラバーダムの意義 |

皆様こんにちは!
今日は久しぶりにすっきり快晴、さわやかで気持ちのよい土曜日ですね
夏からずっと朝型生活にしていますが、この時期の朝の空気は最高ですので少し早起きをしてウォーキングなんか、おススメですよほんっとーに気持ちいいです

さて、今日は根管治療で欠かせない基本中の基本の処置であるラバーダム装着について、お話していこうと思います。
振り返ってみると、ラバーダムについてちゃんとブログで紹介したことはなかったな〜と思います。
これを機会に皆様にラバーダム装着の意義を知っていただきたいです。

このブログで何度も何度も書いていますが、根管治療の目的は細菌の除去です。
感染根管では細菌をできるかぎり除去すること、抜髄では、根管内に細菌が入らないようにすることです。
なぜなら、根尖性歯周炎(皆様がお悩みの根っこの病気)の原因が細菌だからです。つまり、細菌さえいなければ根尖性歯周炎は起こらないのです。
この、根尖性歯周炎の原因が細菌であることを実験して証明したとても重要な論文があります。
Kakehashi S (1965)『The effects of surgical exposures of dental pulps ingerm-free and conventional laboratory rats.』

この論文では、無菌のマウスと、普通のマウスの歯を削り、露髄させて(神経に穴をあける)その後の経過を42日まで観察しています。
そして42日後、普通のマウス群は全ての歯の神経が死んでしまい根尖性歯周炎がみられたのに対し無菌のマウス群は神経の治癒がみられ、健康な状態のままだったいう結果です。
このことから、細菌がいなければ根尖性歯周炎が起こらないということが証明されました。

イラストがあった方がわかりやすいかな?と思い自分で作ったスライドがこちらです。
kakehashi_convert_20121020112045.jpg

1965年の時点でこのような論文が世にでているのに、日本でラバーダムが普及していないのが不思議でなりません。

さて、このように根管治療は細菌との戦いです。
しかしながら口腔内は細菌がたくさんいます。
唾液の中にも細菌はたくさん存在します。
そんなお口の中で、細菌と戦う根管治療をおこなうためにラバーダムが活躍しますが、
歯科医でもよく勘違いしている方がいらっしゃるのですがラバーダム装着は、唾液を入らないようにするためだ、と思っている方がいるようです。
そんな方は、『唾液さえ入らないように工夫すれば、ラバーダムはしなくていい』とおっしゃいます。
もちろん、唾液には細菌がたくさん存在するのでこれは間違っていないのですが、ラバーダム装着の効能は唾液の排除だけではありません。

ではそれ以外のラバーダム装着の意義は何でしょうか?PART2に続きま〜す

●根管治療、診査診断の重要性

2012.10.16 | 根管治療の診査 |

こんにちは李です。
数日前にひどい腰痛を経験しました。
急に腰が痛くなって、どんどん痛くなって動くのがつらいとくに横になていてベッドがから起きる時が一番つらいのです。
首の寝違えもかなり辛いですが、腰の痛みってこんなに辛いのですね。。日常生活に支障があるので本当につらかったです
IKEAの家具を組み立てた次の日に腰痛になったので、ふだんとらない姿勢で作業をしたせいだと思いますが、年を感じてしまいました

さてさて、LEE’S DENTAL CLINICでは患者様からメールのお問い合わせ、お電話のお問い合わせを良くいただきます。
お電話のお問い合わせで多いのが、
『今通っている保険の病院で、根管治療しているがよくならず、穴があいてるか、ひびがあるもしれないと言われました。そんな歯でも、根管治療でなおせますか?』という内容が多いです。

ご自分の歯にひびや穴がある、などと言われ、なかなか良くならないととてもご不安になってしまうと思います。
また、お忙しい方は病院に電話をかけて予約をとって診てもらう、のこの一連の流れが面倒だったりしますよね。さらには、時間がとれないなか、わざわざ病院に行ったのに思うような成果がなかったりすることもあります。そんな時は『ああっ、もう』などと、キリキリしてしまいます。
そのお気持ちもよ〜くわかります(私もそんなタイプの人間ですので)。

でも!!どうか、電話だけですませないでください!
実際に歯の状態の診査をしてみないと、正確な歯の状況が把握できず診断がくだせません。
ひびや、穴、といっても、その場所や大きさによって治療可能、不可能も変わってきます。
また、保険の医院と根管治療専門医がおこなう診査とでは内容や種類がちがう場合もありますし、診断基準もちがいます。
抜歯、非抜歯の基準にいたっては、専門分野(その先生が得意としている分野)でだいぶ変わってくるのです!

ですので、保険の医院の先生がおっしゃられた状況を電話口でお聞きするだけでは正確なことが何一つも言えないのです。
むしろ、その状況を聞いただけで、大丈夫ですよ、残せますよ、という方がよっぽどうさん臭いと思います

歯を治療するために診査、診断は非常に重要なステップです。
個々の歯によって状態はさまざまです。治療が可能でも予後に不安が残る場合や治療にリスクを伴う場合、そういったこともお話しないといけません。その上で、治療する、しないは患者様に決めていただきたいのです。

スケジュールを調整するのは大変だと思いますし、結果的には残せない場合もありますが、大切な歯のことですし、治療費用もそれなりにかかってきます。
お時間がゆるすなら、このような診査診断カウンセリングで数件の歯科医院を受診し、『歯を残せる、残せない』の根拠を聞き、一番納得のできる歯科医院を選択するのがベストかと思います。

大切なご自分の歯、なくなってしまったらもう取り返しはつきません
後悔のないよう、納得のいく方法を選択してください

●根管治療 お悩み相談フォーラム「Tooth Saver」誕生!!

2012.10.09 | 根管治療, お知らせ |

こんにちは。李です。
やっと涼しく秋らしくなってきましたね。年々秋が短くなっているようで残念です。

今日はまずお知らせがあります。
このブログにたどり着いてくださっている方々は、根管治療について調べている、困っている、興味がある、という方が多いと思います。ご自分でインターネットで調べていらっしゃるということは、かかりつけの歯科医院で得られる情報以上のことを求めていらっしゃるのだと思うのですが、じゃあどこで聞けばいいのだろう?
と思っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか?
知らない歯科医院に電話で問い合わせるのも気がひけると思いますしね。

そんな方におすすめしたいのですが、
私が所属するPenn Endo Study Club in JapanのHPに「Tooth Saver」という名前の患者様のお悩み相談のコーナーができました。

http://www.toothsaver.org/

根管治療に関する悩み、困っていること、不安、ちょっとした疑問などを投稿していただくと、私たちの指導医であり根管治療専門医としてご活躍中のスペシャリストの先生方、Penn Endo Study Club in Japanのインストラクターや認定医の先生方が回答者として、患者様のお悩みにお答えいたします。どうぞお気軽にご相談くださいね
もちろん私も回答者になっておりますので、よろしくお願いいたします

PENN ENDO STUDY CLUB IN JAPAN 認定医試験に合格しました!!

2012.10.01 | お知らせ, Penn Endo, 未分類 |

皆様こんにちは。
昨夜の台風は大丈夫でしたでしょうか?
10月に入ったのにこの暑さ信じられませんね

さて、先週末の9月29日の土曜日に、以前から所属している根管治療専門医のためのスタディークラブPenn Endo Study Club in Japan(ペンシルバニア大学歯内療法学科のコンセプトを日本で取り入れているのはここだけです)での、認定医試験に無事に合格することができました。
私はこの認定医試験のために7月中旬から準備をはじめていたのですが(ブログの更新ペースが落ちたのもこのためです)、認定医ともなると50分の学術的なトピックプレゼンテーションと、7症例の報告の両方をクリアできないと合格できない厳しい試験です。ですので、落ちる可能性も十分に大(現にまだ女性で認定医試験に合格した先生が一人もいませんでした)なので、落ちた場合は恥ずかしいのでこのブログでも内緒にしていたのです
今回、トピックプレゼンテーションは接着のお話を選びました。
接着は、前回、前々回のブログでもお話しました、根管充填後の歯にとって、細菌の新たな感染経路をシャットアウトしバリアとなる、コアやファイバーコアでおこなうとても重要な処置です。
接着の論文を読み込んだおかげで、わかっていたようで、まったくわかっていなかった奥深い接着のしくみ、またどんな接着剤がどういう治療に適しているか、歯根の象牙質と歯の頭の部分の象牙質の構造的な違い、接着の弱点などから歯根の接着に適したものなど、表面的な知識としてだけでなく、なぜそうなのか?という根本的なところから理解できるようになりました。
ひとつのプレゼンを作るためには、そのテーマに関する膨大な論文を読みますので発表が終わるたびに、そのテーマについて以前とは比べものにならないほどの、深い知識が身に付きます。認定医取得も嬉しいのですが、勉強をすることで得る知識は本当に宝物だと思います
大勢の前でしゃべるのはとても苦手なのですが、プレゼンを作る作業はある意味創作活動で、とても面白く良い作品ができると嬉しくなります。今回は産みの苦しみがあって大変でしたが、高評価を得ることができて嬉しかったです

今週末、このStudy Clubではじめての女性の認定医が2名誕生しました
詳しくはこちらをご覧ください。

http://pescj.org/member.html
今後もその名に恥じぬよう頑張っていこうと、気持ちも新たにモチベーションアップです

取り急ぎ、本日のブログは認定医試験の合格報告でした〜〜〜〜

●根管充填と仮ぶた(仮封剤)のお話

2012.09.19 | 根管治療 |

久しぶりにまとまった雨が降りました
じめじめしていますが、少し涼しくて嬉しいです。
早く涼しくなってほしいものですね
暖かいコーヒーを美味しく飲みたいです。
私はコーヒーが大好きなのですが、暑さのせいで年々夏の間のアイスコーヒーの消費量が増えてしまい、歯のホワイトニングをしても白さがキープできません
でもコーヒーもやめられません

さて、今日は根管充填と仮ぶた(仮封剤・かふうざい/といいます)のお話をしていきます。
根管充填は、根管治療の最後のステップなので患者様の中では根管充填が終わったらもう安心!というイメージをお持ちの方が多いのでは??と思います。
もしそうだとしたら、これはおおきな勘違いなのです。
根管充填をして、仮封のまま長く時間が経過すると、隙間から唾液内の細菌が侵入します。
そして、その細菌に対して根管充填剤が完璧なバリアになるかというと、そうではないのです。

もしも根管充填をして、仮封剤がとれてしまって長くそのまま経過してしまった、となると唾液中の細菌はだだもれ状態と言っても過言ではないでしょう。。

それくらい根管充填は弱いバリアの役割しかないのです。このことは多くの研究者が報告しています。

前回のブログで紹介したRAY&TROPE(1995)は、

フルに根管充填された状態での実験で3ヶ月以上口腔内にさらされた場合は再治療が必要と報告しています。

フルに根管充填された歯へ、バクテリアが根尖まで侵入するまでの時間を調べた報告は、他にも
Magura ME et.al 1991, Swanson K et.al 1987, Torabinejad M et.al 1990で、 5h〜90日(ずいぶんと開きがありますが

ポスト孔が形成された歯へのバクテリアが根尖まで侵入する時間を調べたものは 
Gish SPet.al(1994)
Barrieshi K, er al.(1997) 66日〜72日

などと報告されています。
時間にばらつきはありますが、とにかく根管充填だけでは細菌の侵入を防ぐバリアとしては不完全、ということです。

ここで2つの論文をご紹介します。

1987年のSwanson Kらの論文『An evaluation of coronal microleakage in endodontically treated teeth. Part I. Time periods. 』では、in vitroの実験で、
根管充填した歯を人工唾液にさらして3日後には根尖近くまで唾液の漏洩がみられた、
歯冠側からの漏洩は比較的短時間で生じる
根管治療の失敗の原因となり得る
、と報告しています。

Yamauchi Sらは2006年の『Effect of orifice plugs on periapical inflammation in dogs.』という論文で、犬の歯を使った実験をおこなっています。

犬の歯を抜髄、根管充填をして、仮封をせずにそのまま口の中に放置すると、8ヶ月後には89%が根尖に炎症がみられた。2mmの厚みの仮封(正確にはIRM、CRでのoriffice plug)をおこなうと、感染率が低下したと報告しています。

以上のような実験から、仮封剤は再感染防止に重要な役割をはたしています
でも、仮封剤ならなんでも良いかというと、そうではあありません。
すぐにとれる仮封剤、とくに保険治療でよく使われているストッピングという、暖めてやわらくくしたものをグニュッとつめるやつは、ほとんどバリアの役割を果たしません。固形物は入らないかもしれませんが(そんなことはもってのほかですが)、唾液はどんどん侵入します。ストッピングは簡単にとれて便利なので、時間を効率よく使いたい日本の保険治療では好んで使われている傾向にあります。

でも、すぐ取れる仮封剤=隙間多い、ゆるい=唾液しみ込みやすい です。
せっかく根管治療で中をきれいにしても、そんな仮封剤だったら、次の治療までの間にまた唾液から細菌が侵入し、細菌が増えてしまい→なおらない、というような悪循環に陥ります。
ストッピングを使用する場合はその上に硬い、はずれにくい仮封剤で二重仮封をするなど工夫が必要です。
厚みもしっかりとることが大切です。

バリア効果の高い仮封剤も、いつかははがれたり隙間ができてくるので永久的なものではありません。
一番良いのは根管充填後、なるべく早くコア、ファイバーポスト&コア、クラウンなどの歯冠修復を行うことです。
前回の記事でもお話しましたが、コアは根管治療で細菌を減らした歯の状態をキープするための最大で最強のバリアになります。細菌の侵入経路のシャットアウトに一番効果があります。
LEE’S DENTAL CLINICでは、根管治療から、コアの築造が終了するまでをひとくくりで考えています。
アポイントの時も、根管充填からなるべく時間があかないように患者様にもお願いしてスケジュールを組んでおります。それくらい重要に考えています。その後、第2のバリアになる適合の良いクラウンを精密治療でおこなっていく、という流れになっております。

もちろんコア築造を行なう時は、ラバーダム、マイクロスコープを使用し、信頼度の高い接着システムを使用、的確な技術で行なう、ということは言うまでもありません!!
これ

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