●歯の神経を残す治療〜生活歯髄療法 Vital pulp thearapy① 歯の神経の働き〜

2013.02.26 | 根管治療の前に〜歯の神経を残す治療〜 |

皆様こんにちは。李です。
まだまだ寒い日が続いておりますね。
先日ワイン仲間の友人のご結婚お祝い会があり、青山のビストロで行う予定でいたのですが
当日シェフがインフルエンザにかかってしまいお店が営業出来ない、という連絡があり急遽お店変更になるというハプニングがありました。
もっと早く言ってほしかった。。。と思いつつも、
まだまだインフルエンザ、流行っているので注意しないといけないな、と気を引き締めました。

さて、今日から久々に歯のお話に戻ろうと思います。
私は根管治療を専門的に学び、日々行っておりますが、神経を保存することができるなら、それにこしたことはないと、常々思っています。
今回はこの神経を残す治療、生活歯髄療法 Vital pulp thearapy(以下VPTと略します)について何回かにわけてお話しようと思います。

このVPTという治療法、患者様はあまりご存じないかたも多いのではないでしょうか?
この治療法は虫歯が大きくて、全てとりさると神経が露出してしまうような場合、もしくは虫歯を取っている段階で露出してしまった場合、歯をぶつけてしまい歯が欠けて神経が露出してしまった場合などに、神経を取らずに保存する治療法、つまり神経を保護して守る治療法です。
このVPTは主に根未完成歯に適応されることが多いです。根未完成歯ってどんな歯かごぞんじですか?
生えて間もない永久歯は、まだ歯の根っこが発育途中でしっかり出来上がっていないのです。
イメージしやすいように、レントゲン写真でみてみましょう。(私の大好きなTrope先生の論文から引用させていただきます)

下の写真のは乳歯です。その下には永久歯があります。これから生えようという時期です。永久歯のを見ると、まだ根っこが半分も完成してません。
imt1.png

では歯が生えるとこの根っこはどうなるかというと、に注目です。
上の写真に比べると根っこが成長しているのがわかると思いますが、完全に成長していません。
歯が生えても根っこが完成するにはもう少し時間がかかります。これが根未完成歯といわれる状態です。
imt2.png
(Martin Trope. Regenerative Potential of Dental Pulp JOE2008より)

ちょっと横道にそれましたが、なぜこのような根未完成歯にVPTが最適応となるかというと、神経がなくなってしまうと、根の成長はストップしてしまうんです。そうすると、根っこの厚みが薄いままなので、割れやすくなります
丈夫な健全な歯に成長させてあげるためにも根未完成歯に神経は必須というわけです。

大人の歯(根完成歯)には絶対おこなわないかというと、そういうわけでもありません。ただいろんな論文を読んでいると、賛成あり反対ありでコンセンサスが得られていないようです。成功率が様々であることや、予後の不確実性、長期に経過観察が必要であること、などから根管治療を行う方がより確実であるという見解も多いようです。アメリカでは訴訟の問題や患者様の経済的な問題などの社会的な背景も影響しているように思います。

歯の中に入っている神経はいろんな働きをしてくれます。
上記のように歯の根っこを発育させる働きや、外来刺激(細菌や、歯を削る、歯ぎしりなどの刺激)に対しての神経の防御反応として、第3象牙質(修復象牙質ともいう)という、歯の完成後にさらに新しい象牙質を作ったりする作用もあります。VPTはこの神経の象牙質形成能を促します。
虫歯に対して痛みを感じたり、凍みたり(あの嫌な痛みです)というのも神経のおかげです。神経がないと、虫歯がかなりすすんでも気づかず、歯が折れたりしてはじめて大きな虫歯が発覚、そして手遅れ、なんていう最悪のパターンもよくあります。

VPTという治療は神経を保存するための治療で、神経を保存することによって、その歯にはいろんな恩恵がのこるのです。とくに根未完成歯にとっての恩恵はかなり大きなものになります。

これだけを読んでいると絶対に根管治療よりVPTがやりたい!と思われるかもしれませんが、どんな歯でもVPTが適応というわけではありません。神経の炎症のレベルによってはVPTを行っても手遅れな場合も多くあるので、適応の見極めがとても大切なのです。
では、どのようにVPTの適応を見極めていくのか??
それは次回のブログでお話していこうと思います。

読んでくださった皆様、ありがとうございます次は3月ですね〜。今年も早い早い!!