●根管治療とクラウン治療、どちらが歯にとって大切なのでしょうか?

2012.09.07 | 根管治療後の治療 |

皆様こんにちは。李です。
まだまだ蒸し暑い日が続いていますね
朝晩は涼しくなったとはいえ、まだまだ秋とは言えません。
私の一番好きな秋、早く来てほしいです

さて、しばらく歯に関する記事を書いていませんでしたが今回からはまじめな歯のお話に戻ります。
このLEE’S DENTAL BLOGの内容は、患者様とのカウンセリングや、治療の時に思いつくことが多いです。
患者様が疑問に思っていらっしゃったことや、歯の状態を説明しているときなどに、患者様の反応が大きい(今までそんなこと知らなかった!)というようなお話からヒントを得て、テーマを決めています。

最近、このブログで歯の治療について何をテーマにしようか決めるのに時間がかかることが多いです。
書きたい、重要だな、このことについていろんな方に知っていただきたいな、と思うようなことはすでに過去の記事で書いてしまいました。

今日は何をテーマにしようかな?と考え、昨年Penn Endo Study Club in Japanhttp://pescj.org/index.html1年コースを受講していた時に発表した内容を見返していました。
そうしたら、またふつふつと、書きたいことが浮かんできました
しばらくは、テーマに困ることがなさそうです

根管治療とクラウン治療、どちらが歯にとって大切なのでしょうか?

根管治療をした歯の予後(根尖病変の有病率)に、根管充填のクオリティと、クラウンのクオリティ、どちらが重要か?というとても有名な論文があります。
このブログでも何度かご紹介した、私の好きなTrope先生の1995年の論文です。(Ray &Trope /Periapical status of endodontically treated teeth in relation to the technical quality of the root filling and the coronal restoration. Int Endod J 1995;28:12–8.)

結論から言いいますと、この論文では根管治療がgoodでクラウンがpoorな歯の有病率(55.9%)よりも、
クラウンがgoodで根管治療がpoorな歯の有病率(32.4%)の方が低かったのです!!
もちろん、根管治療もクラウンもgoodなものが一番有病率が低いです(8.6%)
この論文がでるまでは、根管治療歯の予後に、クラウンのクオリティはそれほど重要と思われていませんでした。
ですので、この論文はこのテーマに関してパラダイムシフトをおこすきっかけとなったのです。

この論文に関しては、その後のお話があります。(ここからが、非常に重要!!)

実はこの論文はいろいろな意味でセンセーショナルだったせいか、内容を検証する様々な論文があとから出てきています。
結局のところ、根管治療の予後には術前に病変があるかどうかがとても大きなファクターなのですが、
この論文ではその影響を調べていないため、この結果のみを鵜呑みにするのは疑問視されています。
この結果だけだと、クラウンが精密だったら、根管治療は適当でいいじゃん!!って解釈されてもしょうがないですよね?
実際に、Trope先生の実験方法を忠実に再現したTronstad Lら(2000)の論文(Tronstad L et al./Influence of coronal restorations on the periapical health of endodontically treated teeth. Endod Dent Traumatol 2000;16:218–21.)では逆の結果がでているのです。

結局、現在では両方大切ということになっていて、根管治療の予後には術前の病気の状態が大きくかかわる、ということでコンセンサスが得られています。

根管治療の目的は
根管内の細菌を減らし、その後、新たな細菌の侵入経路をシャットアウトすることです。ここでいう細菌を減らすのが根管治療、そして侵入経路のシャットアウトが、コアやクラウンの治療ということです。
このように考えると、両方重要なのは言うまでもありませんよね?

では、ハイクオリティのクラウンとは?
それは歯とクラウンの間に隙間がないことです。形成した歯のラインにクラウンがぴったりあっていて、段差や隙間がないことが非常に重要です。
そのためには精密で奇麗な型をとることがポイントとなってきます。
型取りの材料は変形の少ないシリコン素材を用い、
歯肉の溝に糸を巻き、材料は歯肉と歯の溝にもながれやすいようにします。
歯肉が出血してるような状態では絶対に型をとりません!!
詳しくは当院HPの精密治療のページをご覧ください。

http://www.leesdentalclinic.com/08.html
LEE’S DENTAL CLINICでは根管治療はもちろんですが、その後のクラウン治療もすべて精密治療をおこなっております。
根管充填後のコア、ファイバーポストなどの治療は、必ずラバーダムをかけた状態&マイクロスコープを使用し、
一番信頼のおける接着システムを使用しております。

クラウンがハイクオリティであることは、根管治療をした歯にとってとても重要ですが、歯周病予防や、二次虫歯の予防にもつながります。
クラウンの段差や隙間に細菌が停滞すると、歯ブラシやフロスではなかなか取れなくなり、細菌が繁殖しやすい環境になってしまうのです

病気になってしまった歯にとって、根管治療も大切!その後のコア、クラウン治療も同じくらい大切これが、今日のテーマでした